7p. 山行報告(南アルプス全山縦走達成記録)5日目 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録

1.スケジュール

北岳山荘(テン場)水場 3:00

0:40 3:40

中白根山

1:00 4:40

間ノ岳 4:50

1:00 5:50

農鳥小屋(水場) ザックをデポします

0:50 6:40

西農鳥岳

0:40 7:20

農鳥岳 7:30

0:40 8:10

西農鳥岳

0:30 8:40

農鳥小屋(水場) ザックを回収します

2:00 10:40

三国平

0:30 11:10

熊ノ平小屋

1:30 12:40

竜尾見晴

1:50 14:30

北荒川岳

1:45 16:15

北俣岳分岐

0:45 17:00

塩見岳 17:10

0:50 18:00

塩見小屋(小屋泊)水場 約20km トータル62km 計15時間

(但し上記タイムは地図表記。個人的には15時までには到着予定)


2.道中報告及び感想

予定通り1時に目を覚ますことができた。何故目覚ましも掛けてないのに思ったとおりに起きられるのだろうか。不思議でしょうがない。それはさておき、この日が正念場である。寝坊などでこの全山縦走計画を失敗させたくない。鋭意準備を始める。しかし、それは予想外のところから入ってきた。わたしが小屋の玄関前で準備に追われていると、深夜から身支度しているわたしに興味を持ったらしいお客さんが話しかけてきた。この方がトレランと百名山に興味があるという、とてもおいらと嗜好が合致している人で、なんとなく返答していても会話が途切れない。結果、話しの腰をおることができず、出発は2時40分と40分遅れになってしまった。折角、いい感じに準備してきたのに!



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間ノ岳夜間行は、時たま道を外すもすぐにペイントを見つけ直せる程度で事なきを得た。無事に二度目の間ノ岳も登頂し農鳥側へ。こちらもだだっ広いので迷わないよう慎重に、でも時間がないので大胆に急ぐ。


出発した頃には夜空に星々を確認することができたものの、日が出る時分になると完全にガスってしまい、日の出どころか山ですら一つも見えないような状態となってしまった。農鳥小屋に着いた頃には、あたりは明るくなっており(だが御来光をおがめるような天気ではない)、小雨は降っていたものの、風がなかったので、樹林帯の藪の中にザックをデポし、地図表記で往復2時間40分とある行程に一瞬躊躇したものの、空身で走れば1時間かかるまいと、間食をポケットに詰めた以外は水を持たずに走り出す。



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南アルプスの山はでかい。もう理解していたつもりだったが、まだまだ検討違いも甚だしいもので、農鳥岳まで悪く考えても山3つこえるくらいかなあと考えながら走っていたけど、こぶを越えど越えどそのこぶの天辺に農鳥岳の標識は現れてはくれない。あれだけでかい山容なのだから農鳥に違いないとか思っていても、それはただの無名のこぶなのであった。結局、農鳥は6つくらいこぶを越えた先にあるのでした。うーん、こんなに遠いとは想定外! ともあれ、時間的にはなにも狂っておらず想定内。よし、あとはダッシュで戻って塩見岳攻略戦に突入だ。



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農鳥から戻り、デポしたザックを回収し、三国平のトラバースルートで仙塩尾根筋へ出る。写真のようなガレをガンガン下りては登り、下りては登りすることになる。歩き辛いが間ノ岳へ登り返すよりはよっぽどましだろう。


塩見岳に向かう道中、まだ正午も過ぎてないのに雨が降り出した。まったく嫌がらせとしか思えないほど雨ばかり降る。しかし天気が悪いのは都合がいい。ただ黙々と目的地に向かって歩けばいいのだから。塩見岳への道中は南アには珍しくフラットの尾根筋が多かった。はっきり言ってトレランに相応しいルートである(計画段階で走れると踏んでいたおいらの目に狂いはなかったのである)。でもわたしは走るのは我慢し黙々と歩いた。それは昨日の投稿にも書いた通り、明日からのことを考えれば、いまやるべきことは身体の酷使ではないからである。



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これも前にも書いたが、天気が悪ければ、それなりの楽しみがある。この日の尾根歩きでも雷鳥を何度か出会うことができた。この日はウズラほどの大きさとなった子ども連れの雷鳥親子にも遭遇。レアイベントでメンタル回復といったところだろうか。



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道中も単調な退屈なフラットな道というわけではなく、お花畑という形容がぴったりの様々な花たちが目や花を楽しませてくれました。


それはさておき、塩見岳の登りはそれは急なものだった。だが、わたしは既に急登を辛いと思うようなメンタリティーは失っており、ただ黙々と登ることができた。というかフラットをだらだらと歩くよりは急登を登るほうが楽だ。これは普段からの古賀志峠走での尻筋強化の効果が確実に出ているように思う。結果を先に書いてしまえば、わたしは登りについて縦走中に辛いと思うことが後半戦まったくなかった(サンダルで縦走していたくらいだから宜なるかな)。塩見小屋で塩見岳の登りはきつかったと皆から聞かされたが、わたしはそうでもなかったなあと胸の内で呟いていた。が、塩見岳の登りが急であるのは確かで、それつまるところ下山も急だということ。



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塩見岳は双耳峰と聞いていたが、その東と西はそれはもう御近所さんみたいに近く、大層楽で良かったが、塩見の南側に下りる下山路は、小さい岩や石だらけのかなり急な悪路といってよく、落石注意という意味では南アルプス一危ない箇所といっていいだろう。そこを本降りの雨の中下るのはなかなか大変なものがあったが、それでもなんとか下りきり、やっと目的の塩見小屋に到着できたのは1640分であった。ぴったり14時間歩いたり走ったりしたことになる。


3.山小屋情報

塩見小屋は完全予約制の小屋で、ここもテン場がないため計画段階から小屋泊(二食付き)にしていた。水場はなく購入制。1L100円。トイレは携帯トイレを渡されて個室で使うタイプ。1回は無料ながら、2回目以降は携帯トイレを100円で購入しなければならない。小屋は狭く荷物の取り出しには難儀する。特筆すべきは飯が美味いこと。ここの飯は文字通り美味い。小田舎カフェで出てくるような洒落た小皿の多い膳が提供されていました。白眉は味噌汁。本当に見事に出汁がとってあり美味しかった。先に書いてしまえば、朝飯代わりに頼んでおいた弁当も美味しかった。おいなりさん6個だったのだが、2つは紅ショウガ混ぜ御飯がつめてあり、他の2つは洋辛子とあえた御飯、最後の2つはひじき御飯がつめてあるという手の込みよう。ここの料理人はセンスがあります。チャンスがあれば是非お試しを。


4.その他

全山縦走計画の最大の難所は超えた。塩見小屋は南アルプスの中心といってよく、この5日間で南アルプスの北部を縦走しつくしたことになる。明日からは後半4日間で南アルプスの南部編に突入するわけだ。前半戦の5日間は雨が降らない日は1日とてなかったし、太陽が一度も顔を出さなかった日が3日もあった。北部編は雨との戦いだったと言っていい。わたしは毎日の雨のせいでずぶ濡れとなっていた。ザックカバーをしていないので、ザック内も水だらけである(装備はビニールやジップロックで守られているから問題ない)。問題はシューズである。この5日目の20㎞の行程のせいで、ビチョビチョのグチョグチョとなってしまったのである。靴下もビチョビチョである。そして、濡れてシワシワとなった足の裏で長距離移動し続けていたので、そのシワシワにそう形で足の裏には縦長の水ぶくれ(マメ)が幾筋もできてしまっていた。何日も履き続けている運動靴が濡れ倒したらどんな臭いがするのか。その靴と接触し続けていた靴下がどんな臭いがするのか。あなたも想像ぐらいはできるだろう。それは自分でも耐えられないような臭さなのである。なにか良いアイデアでも早急に思いつかねば、わたしは雨のせいで腐り、かび、悪臭にさいななまれ息絶えてしまうであろう。小屋到着が夕刻前だったため、乾かしようもなく、明朝を迎えなければならなかった。



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わたしは南部編に向けて一計をひねり出していたが、その作戦は晴れることが前提の作戦であった。日の入り前に小屋を出て、塩見岳がガスから姿を現すのを見ながら、明日は是非とも晴れてくれなければならないと、祈るような思いで空を見つめていた。


次回「山行報告(南アルプス全山縦走達成記録)6日目」に続く