6p. 山行報告(南アルプス全山縦走達成記録)4日目 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録

1.スケジュール

仙丈小屋(小屋泊)水場 4:00

3:00 7:00

高望池

1:40 8:40

野呂川越

0:40 9:20

両俣小屋(水場)

1:30 10:50

中白峰沢ノ頭取付点

2:00 12:50

中白峰沢ノ頭

1:30 14:20

北岳 14:30

0:55 15:25

北岳山荘(テン場)水場 約15km トータル42km 計11時間25

(但し上記タイムは地図表記。個人的には15時までに到着予定)


2.道中報告及び感想

仙丈小屋は予定より20分遅れて出発することができた。夜人に迷惑をかけないように出立の準備をするのは難しいが、少しずつ馴れたきたように思う。問題は目覚ましをかけることができないため、目覚める時間を体内時計に任せるしかないことであろうか。



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外は予報通り雨と強風の世界であった。夜間登山はお手の物なので、早々と昨日登らなかった仙丈ヶ岳に登頂、ただ記念撮影には四苦八苦。ここで御来光を拝められたらなんといいことだろうと思ったりしても詮無きこと。先を急ごうとしたら、若い登山者から仙塩尾根1人では心配なので御一緒させていただけませんかと申し出を受けた。登山は1人のほうが効率がいいが、この天気で仙塩尾根を行こうという若者を無下に断るわけにもいくまい(これが結果的に良かった)。



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仙塩尾根は、尾根とは名ばかりの山の登り下りの繰り返しであった。この頃には南アの山が大きいこと、一々登っては下り登っては下りを繰り返させられることを理解していたので、黙々と登った(早川尾根のほうがきつい印象もあったから、メンタルでは楽だった)。大仙丈岳の写真を見てもらえば分かるとおり、夜、雨、強風。つまり低体温症の恐れがあった。森林限界を抜けると、強風が雨と共にもろに吹きつけ、体温をガシガシと奪っていった。個人的には耐えながら登りきることも可能であっただろうが、S先輩に登れたから良かったものの、もし登れなかったどうするつもりだったの?と後で詰問されることを思えば、さっさとダウンでも出してぬくまったほうが楽だと思い立ち、早々と防寒対策を施した。同行者にも防寒対策して欲しかったので、遠回しにそっちのほうにむくような話しを心掛けた。


予定では野呂河越えルートで北岳を登り、北岳山荘に下りるという計画だったが、野呂河越えルートが通行止めになっている可能性もあると考え、また同行者も野呂河でなく三峰岳経由で間ノ岳を越えて北岳山荘に入るということだったので、わたしも渡渉の危険を鑑み、三峰岳経由のルートで北岳山荘を目指すことにした。



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このルート替えが正解だった。基本同行者がいる上、悪天であるため、ただただ先を急ぐ結果となり、正午頃には間ノ岳に登頂してしまい、北岳山荘にも14時前には着くことができた。山荘で同行者と別れ、わたしはザックを山荘にデポすることはせず(悪天で危険であるから)、北岳に向かうこととした。


http://www.youtube.com/watch?v=7wRpHJ3QSPE


北岳を登っている頃には雨が止み、風のみとなっていたため、寒さという敵はいなくなって、かえってこの風が快適だなとさえ思いながら登ることができた(どちらかと言えば間ノ岳への登りのほうが大変だった)。



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北岳を登頂し、北岳から山荘に戻ったのは16時である。この日登った3000m級(仙丈ヶ岳、間ノ岳、北岳)では、どこもガスや雨で眺望が望めなかったのは残念だった。しかし、それよりも明日の行程のほうが気になっていたので、当時はそれどころではなかった。



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因みに、酷い悪天で辛い山行ではあったけれど、こういう時こそ雷鳥の目撃チャンスである。この仙塩尾根では雷鳥を2,3回目撃することができた。一度など100mくらい登山道を一緒に歩いてしまったほどである。雷鳥にとっても登山道は歩きやすいらしい。


3.山小屋情報

北岳山荘は、もともとはテン場にツェルトを張る予定だったが、ポール代わりのストックをなくしている状態、さらには強風であったため、仙水小屋に続き素泊まりとすることにした。小屋は広く、物も豊富に売っていた。ストーブを焚いてくれていたので、予備用の靴下まで濡らしてしまったわたしにとっては天国のような場所だった。靴下は2足とも乾かすことができたが、トレランシューズは乾くまでにはいたらなかった。トイレもしっかりしたものがあり、洗面台もある。水は有料ながら豊富に小屋内で得ることができた。


4.その他

洗面台があったので2回目のコンタクト交換をした。今回もワンデイを2日連続で使用している状態であった。雨が3日続いてるため、ザックは濡れっぱなし、カバーをしていないので、ザック内に水がたまり、その処理が大変。


ここでも有料ながら水場が近く豊富であったため、頭を洗い体を拭くことができた。


素泊まりだから早々と自分で食事をすませ、翌日のことに思いを馳せた。明日は塩見小屋までの20kmの行程である。そこには農鳥岳ピストンのおまけが付いている。ここで農鳥ピストンをやらなければ、わたしが達成したのは「南アルプス百名山全山縦走」になってしまう。これではミーハー登山家みたいではないか。さらには、わざわざ青木鉱泉ではなく夜叉神峠から面白くもない尾根筋を歩いた意味もなくなってしまう。明日の農鳥岳ピストンは外せない。


本来の計画では明日は1日トレランすることになっていた。しかし、この4日ザックを担いでいる感覚から、いまの重量のザックを担いで20㎞の行程を走りきるのは自殺行為に等しいと考えを改めていた。いや、走ることはできる。しかし、翌日以降も計画通りに事を成していけるポテンシャルを維持できるかは怪しいというか、たぶんできない。いや確実にできない。明日1日走るのは、明日という最大難関を乗り切るためだけだったら最善策だが、この8泊9日の全山縦走を達成するためとなると愚作でしかないと判断できていた。


明日はまだザックに重量がある。走るのはザックをデポできる農鳥ピストンの区間だけにしよう。そこしか走らないとなれば、出発を相当早めなければならない。これらを前提に山行時間を逆算すると、むむむ、、、、なんてこった!塩見小屋に暗くなる前に到着するには2時には出ないとならないではないか。そしてそれはつまるところ間ノ岳を夜中の内に登頂し下山しなければならないことになる。幸いそのルートは今日歩いてきたルートだ。一度歩いたルートなら夜間行でもやれるはず。しかし間ノ岳の山頂付近はだだ広い場所だ。ケルンがあるとは言えああいうところが一番迷いやすい。3000m級の夜間行いけるか?いや夜間は得意だ行くしかない。


決まれば早い。明日出られるよう適切な準備をし(夜間でも音を立てずに出発できるよう最大限の工夫を凝らす)、仙丈小屋から一緒した青年に別れの挨拶をして、早々と眠りについた。長期縦走に必要なのは回復を促す食事と睡眠である。(おわり)


次回「山行報告(南アルプス全山縦走達成記録)5日目」に続く