というわけで、映画ばっかり見ているのに映画のことをまったく書かないおいらのブログを少しくらいは映画色に染めようと始めた企画“キネマ刑事たまの手帳メモ”。これはおいらが自分のために観賞後に書き殴っておいたメモ書きをそのままブログに転載してしまえという乱暴な企画だったのだけど、メリットは結構あって、それは新しく自分でなんら書かなくても素材は山のようにあるという点。・・・だったはずなのに、いまだ転載できたのは18pまで。おいらのメモ書きは既に78pを超えているので、結局この企画もリアルタイムにはほど遠い企画となってしまった。というかコピペすることに飽きたわ。いうわけで、それを補うためにも、ザクザクと皆さんの映画館観賞に役立つようなことも書いてみようと決意し始めた企画が、“キネマ刑事たまの新作レビューはメモ書きで起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!!”だ!(どーん!!)
まず『外事警察 その男に騙されるな』から。NHK映画はキャスティングにしがらみがなくていいなあとか。『星の旅人たち』は、満員だったけどメディアの力先行。同じような映画が見たいなら「サン・ジャックへの道」を借りて見てくれ。<ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ>『ラブ・ストームス』はちょっと理屈っぽいけど、じつにいい。『サニー 永遠の仲間たち』は、評判通りの良作。おいらも大好きになりました。『ファウスト』は、真面目な映画かと思いきや、へんてこな映画だった。『幸せへのキセキ』は、想像以上のものはでてこない。『SHAME シェイム』は、おいらの想像のはるか下でした。これは普通のヒューマン映画。『わが母の記』は、まとまってたけど。『愛と誠』は、世界観が好きかどうかだけ。三池さんのさばきは健在。20thアニバーサリーフランス映画祭『わたしたちの戦線布告』(ティーチイン:監督主演ヴァレリー・ドンゼッリ、主演ジェレミー・エルカイム)は、誰でも撮れそうな低予算な環境から、よくここまでの映画にしたもんだと感心する。難しい技術は使われてないから、ようは才能とセンスと工夫の問題なのよね。20thアニバーサリーフランス映画祭『ミステリーズ・オブ・リスボン』(ティーチイン:出演メルヴィル・プポー)は、時代考証が面白い。つまらなくはないんだけど、あまりにも尺が長いので、人に薦められるかと聞かれたら、薦めないと断言する。
兎にも角にも、今なにを薦めるか問われたら、おいらは『別離』をオススメしますよ。おいらはこの映画を観て、キエシロフスキーのデカローグの一篇を思い出した。練りに練られたであろう正しい主題提示がすべて映像に昇華されていることに脱帽する。幾重にも層ができており、層を向いていけば、作り手の思考をたどることもでき、非常に深い映画である。主題との距離感も抜群で、本作は間違いなく本年たま賞を受賞するであろう一品。いや、ここ数年を遡ってもベストだろう。見事な作品。(おわり)