『胡桃亭』(那須塩原)- 新そば漫遊記2。 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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栃木において、前回書いた“穀物を感じさせてくれる蕎麦”を出している店の花形と言えば、間違いなく那須塩原に店を構える『胡桃亭』さんに他ならない。栃木の美味い蕎麦屋は全国に名の知れているような店はほとんどないが(辺境にあるため)、この店は国道沿いにあるため、県内の蕎麦通なら行ったことがない人はいないだろうというほどの珍しいお店だ。人気もかなりあると思うが、ここの蕎麦を誰もが愛すかと言えば、そうとは限らない。なぜなら冒頭に戻るが、ここの蕎麦は“穀物を感じさせる”普通そばから受ける印象とはかけ離れたものを提供しているからだ。


この店のことは旧蕎麦漫遊記でも紹介したが、当時そば初心者だったわたしは、ただただ素直に、こう感想を書き記している。【美味いかと言われると「いやはや」というほかない。簡単に言ってしまえば、おいらには分からないのである。始めて出会ったものを美味い枠に振るのか、不味い枠に振るのかは、そうは簡単に判断できないだろう。おいらの脳は驚いたというただ一点を指し示している。


わたしはその当時、蕎麦は“もり(冷たいそば)”という固定観念に囚われていた。しかし、この店に出合うことでそれは払拭され、蕎麦の奥深さを知る切っ掛けを得られたのである。蕎麦は“喉越し”や“かおり”だけではない。穀物としての食感や味わいを愛でるという楽しみ方もあるのだ。この店の蕎麦粉はかおりが強くないため、冷たいそばではその魅力を最大限に楽しむことはできない。やはり少し熱を入れて穀物としての側面を開花させてあげてこそ最上である。最初は“分からない”と書いて店を出たわたしであったが、その後、定期的に通うようになるまで時間はかからなかった。この店は他店では味わえないオリジナリティを持っている。そういう店は強いし印象に残る。


県北に人と出ている時などは、その人が蕎麦に少しでも興味があるなら食事処としてこの店を提案させて頂いている。皆満足してくれるので、わたしも鼻が高い。わたしが連れていった者は皆、上に記したようなわたしの御託をスルーして、冷たいそばを注文しているのですが、それでもその多くが満足してくれるのだから、やはり他とは一線を画しているお店ということなのだろう。


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わたしと言えば、定期的に通っていればいろいろと試したくなるもので、最近注文したそばは、今日書いてきたこととはまったく関係がない“揚げ出し豆腐そば”だったりする。揚げ出し豆腐がのっている冷たいそばに汁をかけて頂く“ぶっかけ系”の蕎麦だが、出汁がしっかりとれているつゆが非常にマッチして、これがまた美味い。確かに蕎麦の魅力は半減するけれど、この日の揚げ出し豆腐の魅力には負けた。その日なにを求めているのかは胃袋が決めればいい。この日のわたしの胃袋は揚げ出し豆腐に大満足であった。


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といっても蕎麦好きなわたしは、この店で食べる時は必ずと言っていいほどメインとは別に“そばがき”を注文する。ここの“そばがき”は一時期最高峰の美味さを誇っていた。今季の蕎麦粉は若干そのレベルに届いていないものの、やはりこの店の蕎麦粉の穀物感を味わいたいなら、このメニューに勝るものはない。


【那須塩原】胡桃亭  揚げ出し豆腐そば ☆☆☆☆  そばがき ☆☆☆☆


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素材情報(再訪そば処栃木の名店を歩くより)

そば粉:馬頭産(田舎そば)、北海道産(せいろ)十割

つ ゆ:本がえし/本ぶし、サバぶし、ムロあじ


【旧蕎麦漫遊記まとめページ】

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【新そば漫遊記まとめページ】

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