映画雑記Vol.23 ミニシアターブームの象徴、閉館へ。 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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620日(日)おいらは渋谷にいた。この日、ミニシアターブームを牽引したシネマライズの地下階が閉館することになっていたからだ。地方に住んでいた方もシネマライズの外観は目にしたことがあると思う。あの「アメリ」興業での大行列。シネマライズの入口から伸びた若者たちの行列は、スペイン坂の半ばまで達する勢いだった。あの時ミニシアターブームはまさに最盛期であった。しかし、「アメリ」単体がブームを巻き起こしたのではない。ブームを起こさせたのは、紛れもなくシネマライズのブランド力に他ならない。「トレイン・スポッティング」「ブエノスアイレス」「ヴァージン・スーサイズ」などなど、脈々とインディーズ系作品を若者たちに浸透させていった流れがある。


そのシネマライズの象徴たる地下階の閉館。これはある種の時代の終わりを意味している。けれど、おいらはその終わりを悲しみをもって迎えたりはしない。この閉館の決定がなされる遥か以前から、既にシネマライズのブランドイメージは地に落ち、ないに等しかったのだから。時は流れている。常に時流を読み察知して、その形や意識を鋭敏に変容させていかなければならない。多くの有名ミニシアターは、映画不況の中、ブランドイメージをかなぐり捨てて、大手の2番館へと成り下がった。一度引いた映画館の末路は見えていた。


しかし今回のシネマライズの閉館は違う、これは新たな挑戦でありスタートだ。シネマライズは、7月から3館体制から1館体制へと移行する。新体制から上映作品は厳選し、ブランドイメージの回復を狙っていくそうです。シネマライズの新たな幕開けに選ばれた作品は、鬼才ソダーバーグ監督の新作「ガールフレンド・エクスペリエンス」。主演に人気ポルノ女優を迎えたあの問題作だ。これほど新スタートに相応しい作品もない。おまけにシネマライズは、おいらが昔から提唱していた“ミニシアターは抱き合わせ商法を使え”を実践してくれるよう。というのもシネマライズは、717日からハリウッドも黙殺したソダーバーグ作品「バブル」を一週間限定で劇場公開するのです。偉い。ああ、こんなに嬉しいことはない。


という具合で、おいらはシネマライズの決断を全面的に支持している一人なのですが、まあそれはそれ、これはこれ、おいらも人の子、やはりシネマライズの代名詞といえば、生き残った2階スクリーンではなく、閉館する地下スクリーンのほう。自分が生きてきた時代が終わるのは寂しいものじゃないか。そうでしょう? おいらは最終上映に立ち会おうとシネマライズに向かった。きしくも最終上映でかかっていた作品は、塚本監督の「鉄男 THE BULLET MAN」であった。なるほど、これが渋谷ミニシアター時代の残り火を完全にかき消すのに選ばれた作品か。悪くない。(おわり)


バブル予告編

http://ameblo.jp/girlfriend-experience/theme-10023132277.html