仙波探訪。 - 蕎麦漫遊記21・22 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録

おいらの中で山遊びと蕎麦漫遊はもはや切り離せません。トレイルが先か蕎麦に舌鼓を打つ目的が先かは自分では分かりませんが、どちらも自然を満喫するという意味では同じと解釈しているのかもしれません。たた、一動作で二粒頂けるならこれ幸いと、双子の目玉焼きを前にした可笑し味のようなものは感じています。この日、トレイル前に訪ねてきたのは、蕎麦の産地仙波。仙波の蕎麦は、地産池消を目的に生産されているため、蕎麦粉は門外不出。味わいたければ、その土地まで出向かなければなりません。


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仙波は普通まず訪れない辺境にあるため、宇都宮から向かう際には、このような石灰やドロマイトの工業地帯を抜けなければならず、


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工業地帯が陣取る峠を越えても、山間の田園地帯をまっすぐ走り続けてようやく到着するのが仙波になります。それこそ蕎麦がなければ訪れることはないような土地です。

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『仙波そば 大麓田』(佐野)- 蕎麦麺漫遊記21。


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目的の「仙波そば 大麓田」に到着した頃は、まだ開店前だったのですが、ご主人に快く迎え入れてもらえました。因みに本店も、例の如くおいらの基本書「再訪そば処栃木の名店を歩く」に掲載されているお店です。店内にはテーブルや座卓などは置かれておらず、座布団を自由に好きな場所に敷いて座るシステムのようです。日の当たる場所に座布団を敷いて、もりそば(おおもり)と名物らしいゆり根の天ぷらを注文する。


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注文の品はお膳にのせられて運ばれてきた。なるほど、こういうテーブルなどがない接待も面白いものだ。混雑してもお客自身が詰めあえば、外で待たされるようなことがないかもしれないし、なにより田舎の持てなしに風情を感じることができる。


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そして、お膳で運ばれてきた蕎麦の美味しそうなことといったらない。ここの御主人はとことん蕎麦を愛しておられるらしく、薬味は蕎麦の風味を損なうと一切付いていない。さらには、割り箸の木の臭いも蕎麦に影響するといって、試行錯誤のすえ、もっとも影響が少ない吉野杉の割り箸を使用するといった拘りよう。ここまで周辺事情に拘っているのに、真打の蕎麦が不細工だったら、それこそ本末転倒もいいところだろう。きっと見た目通りの美味しい蕎麦が頂けるに違いない。


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蕎麦は太い田舎風。星は一切入っていない。さっそく数本箸で数本すくいあげて、すすってみる。******☆! 最初に脳に届いてきた信号は、まるでハンマーで側頭部を殴られたかのような衝撃波としてやってきた。食べ物からこれほどの衝撃を受けることがあろうとは。まるで有毒ガスでも唐突に吸い込んでしまったような脳の拒否反応、そして低酸素状態になったかのようなクラクラ。目をパチクリさせているおいらに、続いて現れたのは身体の反応だった。意識とは無関係に全身に鳥肌がたったのである。ざわざわ


これはなんだ、これが蕎麦なのか。もっもう一度。蕎麦を数本吸い込む。おおおお、なんという香りそして味。これが蕎麦ならいままで食べてきたものはなんだったのか。まったく違うじゃないか。香りは僅かに香ってくるようなレベルでなくがつんがつんと脳を直接刺激してくるし、味の余韻の広がり、幅の深さ、しんしんと染み渡ってくる蕎麦の味はなんだろう。こんな味の伝わり方は経験したことすらない。そして、この香りと味の両取りを成功なさしめているのは、本蕎麦が田舎蕎麦という太麺仕様ながらにして、ずぅと滑らかに艶やかに口内に吸い込まれてくれる点だろう。このすすることが可能な点、田舎蕎麦にして鼻腔奥での蕎麦の香りの爆発という現象を生み出しているのだ。そして、よくある固いだけで噛んでいる内に疲れてしまう田舎蕎麦ではなく、少し噛めば蕎麦が崩れ、そこから構内に広がっていく蕎麦の味、、ああ、しんしん。田舎蕎麦にして細めんのような喉越しと絶妙な食感を併せ持った蕎麦。おいらの脳内にはすぐにこんな文句が浮かんでしまった。“天下一武道会優勝候補”


つまるところ何が言いたいかというと、これほどの蕎麦は日本中探してもたぶんないであろうと直感したということ。蕎麦最強王者決定戦みたいなものがあったなら、間違いなく決勝戦で勝ち負けするようなレベルの蕎麦である。これはそんじょそこらの蕎麦じゃない。ある一つの方向性を極めた蕎麦と言ってもいいだろう。日本一の蕎麦だといわれてもおいらは素直に信じてしまうね。それほど、ちょっと次元の違うものがでてきた。「美味い、美味い」と食べていたらば、ご主人が出てこられたので長めに話すことができました。お話好きのご主人のようです。大変ためになるお話が聞けたなあ


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ゆり根の天ぷらも頂きました。これまた想像していたものとまったく違う味でびっくり。まるで和風のフライドポテトを頂いているかのような“ホクホク”感。なんでも、御主人が季節のものだったゆり根を年中美味しく食せないかと考え、試行錯誤の結果、見事独自の保存方法を確立したんだそうな。そのおかげでこうやって季節外れでも美味しくいただけるわけです。なにからなにまで、研究熱心でしっかりしたものが出て来ました。大満足♪


【佐野】手打ちそば 大麓田  大もりそば ☆☆☆☆☆  そば湯 ☆☆☆  ゆり根の天ぷら ☆☆☆☆


【素材情報】

そば粉:仙波産を使用

つ ゆ:弱アルカリの天然水を利用した自家製

薬 味:そば本来の風味を尊重しているため、なし


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『農林漁家高齢者センター』(佐野)- 蕎麦麺漫遊記22。


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大満足した帰りでも、もう一店立ち寄ってしまうおいらは器用貧乏。まるで仕事で蕎麦を食っているようではないか。でも仙波には早々食べには来られないので、この機会に立ち寄っておかなければなりません。こちらも例の如くおいらの基本書「再訪そば処栃木の名店を歩く」に掲載されているお店です。但し、こちらは名店としてではなく、農村レストランとして掲載されているお店です。


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早速、蕎麦食いの定番“もりそば”を注文。同じ仙波産の蕎麦粉を使っているということだから、上記で紹介した「大麓田」の仕事が蕎麦粉の出来からくるものなのか、はたまた御主人の技から来るものなのかの試金石として最適だ(こっちのほうが美味かったりして)。どれどれ、邪推はなしにしていただいてみましょうか。数本箸で摘んで吸い込んでみる。ずぅ。なるほど。確かに同じ系統の蕎麦粉であると認識できる香りが鼻腔をついた。しかし、蕎麦らしい味わいがない。つなぎが存在を主張し、抵抗勢力としての堅さがそこにあり、噛んで味わう蕎麦となっている。もぐもぐやっているとやっと届く蕎麦の味。やはり同じ産地の蕎麦粉でも受ける印象はまるで違うのだなと、いい勉強になりました。こちらのほうがお客さんで混雑していましたけどね(笑)。


【佐野】農林漁家高齢者センター  もりそば ☆☆★  そば湯 ☆☆


【素材情報】

そば粉:仙波産

薬 味:葱、わさび


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【蕎麦まとめページ】

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