トレイルデビュー。「めっさ怖いんですけど」 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録

4月下旬の湯治旅行から帰ってきたおいらは、GW明けを見計らって早速トレイルデビューしてみることにした。安易に申し込んでしまった大会は5月下旬開催。もはや思案している状況ではなく、湯治旅行で膝は完治したものと仮定して、大会の準備を始めていかなければ。


たまのブログ


トレイルシューズは既に購入済みなので、あとは本番に向けて、トレイル用のザックと水のタンクを購入してくる。このセットでザックを背負ったまま水を摂取できるようになるわけだ。素人トレイルには必須の機能である。まあでもトレイルのためだけにこういった一式を購入するのは気がひけた。わけで、おいらはこのトレイルの準備をしている頃に、今夏実行に移した夏フェス三昧を決意したのでした。夏フェスに必要なものとトレイルに必要なものは類似が顕著で親和性が高いのだ。これはまた別の話だが。


たまのブログ


トレイルは非常に危険なスポーツだとおいらは思う。マラソンからトレイルに入ったのでなく、登山からトレイルに入ったという意識があるおいらには、軽装で山に入ることや、登山道を駆けることに、たまらない不安を感じる。「トレイルするなら一度登ったことのある山から選ばなければならない」くらいのルールを決めて取り組む必要があるだろう。当日の格好は上画像の通り。こんな格好で山に入っていいものなのだろうか。一人でなんでも決めて一人で行動しているおいらには、これが正解なのかすら分からない。生きて帰ってこられないかもなあなんてこと思いながら、写真を撮ったものだ。いや、本当に。


たまのブログ


トレイルデビューに選んだのは、昨年登った大平山塊。大平登山について書いた日記(http://mixi.jp/view_diary.pl?id=959853228&owner_id=1064357 )を読んでもらえれば分かると思うけど、おいらは昨年の大平登山では、晃石山山頂でUターンしていて、馬不入山山頂だけ登頂していなかった。そこを上手く利用して、トレイルデビューなんて止めろと最後まで抵抗を続けるおいらの弱い心を、このピークを踏み損ねた馬不入山まで行くという誘惑で打ち消したのである。まあでも大平山はおいらが登った山々の中ではもっとも稜線が長く、一番トレイルに適している山でもあった。デビューにはお誂え向きといったところか。


たまのブログ


つうわけでスタート。最初はあじさい坂という1000段にもわたる石階段から。これだけでもうばててしまったのだけどなにか? いやまいった。デビューもクソもあったものかね。登りを走り続けるなんてそもそも体力的に無理じゃないのか。


たまのブログ


たまのブログ


山に入ってからも出だしは当然登りが続く。はあぁぁあはあぁ、、なんてこったい。厳しい。ジョギングとは次元が違う。披露困憊。


たまのブログ


大平山山頂についてしまえば、稜線に入る。ここからやっと軽快な稜線トレイル。緩やかに下って、緩やかに登る。すれ違う年配の登山者からは、凄いねえとか若いねえとか声をかけてもらえる。まあそうだよなあ、1年前のおいらはここに真面目に登山しに来ていたのだからなあ。それが今やこんな軽装で登山道を駆けているのだからまったく。


たまのブログ


晃石山山頂は傾斜が厳しいのでトラバースして晃石神社にそのまま直に駆け出てきた。ここまでで38分。早っ。昨年登山した時は寄り道をかなりしたにせよ2時間10分かかったコースである。うーん、なるほどなあ、なるほど。


たまのブログ


ここからは初潜入。馬不入山山頂への道中は、山名の通り、徐々に険しさを増していく。高低差もけっこう大きくて、峠を1つ2つ越えていくような感覚。


たまのブログ


馬不入山山頂到着。ここまでで1時間9分。嗚呼楽しかった♪ なにがいいって、下手したら死ねるというスリルがいいなあ。たまらんはこれ(笑)。この当時のおいらは、まだ「山で死んではいけない」という当然の意識が欠落していたのである。まだまだ山素人だったということだ。閑話休題。1時間9分トレイルしてきたのに、じつはおいらはほとんど疲れていなかった。確かに出だしの登りは本当に厳しかったけど、稜線に出てしまえば楽なもの。それに登山道を走る心地よさは、市街を走るのとはまったく別次元の楽しみがある。トレイルといのがどういうものかと言われれば、登山道を走っているだけのことなのだけど、なんつうのかなあ、人里離れているのがいいのかな。なんか無駄なのだよね、こんなことしていても。山走るなんて意味ないのだよ、実際。でもだからこそ童心に帰るような愉快な馬鹿々しさがあったなあ。走っていても笑顔になれるようなね。がしかし、トレイルは生半可な気持ちで始めてはならないということだけはここに警告しておく。それ相応の登山経験とマラソン経験があって、始めてトレイルの初心者の仲間入りできるくらいのレベルである。上動画(アメにはなし)を見てもらいたい。注目して欲しいのはおいらの息遣い。この“ひぃひぃ”と言っているのは、おいらがバテテいるからではなく、死ぬかもしれないという恐怖に引き攣ってしまっているおいらの呼吸音なのだ。この動画では傾斜までは把握しきれないと思うが、この動画で走っている箇所は下り坂なんだけど、この下り坂が死ぬほど怖い。下りの登山道を駆ける怖さは尋常ではないとここに書こう。


トレイルの下り坂でまず言えることは、ブレーキをかけることができないという点だろう。登山道の下り坂で重心を後ろにずらしてスピードダウンを計ろうとしたら最後、いくらトレイルシューズを履いていても達処に横滑りしてしまうのである。スノーボードをやっている人なら分かってもらえると思うが、下り坂でびびって重心を後ろにずらすと正しく前には進めない。必ずこける。トレイルでも同じことで、トレイル中に下り坂に突入したら、傾斜に平行に足の裏を下ろし、体の芯も傾斜に対して直角になるようでなくてはならない。でないと滑ってこける。そして、この平行と直角を実践するとどうなるか。答えは下り坂で物凄く加速してしまうということ。


トレイルで大事なことは着地点にちゃんと意識がいっているかということである。木の根や動く石。砂利、落ち葉と、どこに着地すれば確実にグリップするか瞬時に見極めながら走っていなければならない。この見極めが、下りの加速時にはとても難しい。本当に「集中集中」と頭の中で念じながらの下り坂攻略なのである。この動画の箇所も、ちょっとでもミスしたら崖に落ちてあの世行きみたいなところなのです。そりゃあもうトレイルは怖かった。小学生の頃にスキー場の上級コースに始めて挑戦した時の何十倍の怖さがあったね。スキー場は怖くても生き死にを意識するようなところまではいかなかったけれど、トレイルは下手したら死んでしまうという恐怖が常に傍らにありました。


これは果たして慣れていくものなのだろうか。慣れていかないならそうとう厳しいスポーツである。なんつうことを臆面もなく書いてきたけど、これみんなおいらがそう感じたというだけの話しで、じつは下り坂の対処他もろもろ正解なのかどうかすら定かでない推測ばかりである。まったく困ったものだ。


たまのブログ


ともわれ自己流分析でこの日は無事に戻ってこられました。でもこのまま大会に出るわけにはいかんということもよく分かった。だって死ぬもの、死んでしまうもの。そう直感が告げるのである。もう1回練習できなかったら大会出場は止めにしよう。そう堅く心に誓わされた厳しいトレイルデビューなのでした。(おわり)