3)薩摩登山遠征記。「いい湯だんな~」 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録

(24日のつづき)目論見通り高千穂峰で切り傷をこさえることに成功したおいらは、本来の目的である湯治をするべく霧島温泉郷に赴く。霧島温泉郷は高千穂峰から目と鼻の先で、数分もすればそこかしこから湯気が車道を覆うほど立ち上っている地帯に突入する。


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湯気は温泉郷の華。源泉が豊富な証である。


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霧島温泉郷内の主要観光スポットである丸尾滝は、あふれ出る源泉が流れ落ちて滝と化しているのだそうだ。捨てるほど温泉があるからこその街中の湯気ということ。動かない右足を引きずって丸尾滝の滝壺まで移動したから、もうへとへと。滝からほど近い霧島観光ホテルで1回目の立寄り湯を堪能しました。霧島温泉郷は、その泉質の良さから“日本一の名湯”と呼ばれているので、少しでも右足が動くようになればいいのだけど。


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高千穂でかいた汗を流してさっぱりしたおいらは、周辺を観光してまわることに。取り敢えず目指すは和気神社。坂本龍馬も立ち寄ったスポットだ。本神社は、奈良末期に道鏡の皇位継承を阻んで怒りを買った和気清麻呂が霧島に流された縁から、和気清麻呂を祭神として祀っている神社である。本神社の面白いのは狛犬ならぬ狛猪が出迎えてくれること。


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公式HPによると【清麻呂公は神教のお礼参りに、宇佐八幡に参拝しようとしました。脚が萎えて歩くことができないので、御輿に乗って豊前国宇佐郡しもと田村まで来ました。すると三百頭の猪が現われて、御輿の前後を守りながら、八幡宮まで十里の道を無事ご案内しました。参詣した日に足が立ち、歩むことができました】とのことです。いうことで、まさに右足が動かないおいらがお参りするには打って付けというわけです。ありがちゃありがちゃ


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おまけに和気神社は年に一度の“藤祭り”中だったのですねえ。これでもかと日本中から集めた様々な藤が参拝者を出迎えてくれます。花がわからないおいらにはどの藤も同じようにしか見えないんですけどね!!


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高千穂峰を相当短時間で登ったために日が沈むまで時間はまだまだある。和気神社から少し車を走らせたところにある犬飼滝にも立ち寄ることにする。ここも坂本龍馬が立ち寄ったスポット。清麻呂公もお気に入りだったらしい。しかし、滝壺までは1.5㎞ほど歩かなければならず、動かない右足に四苦八苦。これを読んでいる人は話半分で読んでいるのだろうが、このころのおいらの右膝関節は本当にまったく動かなかった。それでも膝が動かないなら動かないで、昔の偽足(棒のような)が付いているのだと考えれば歩けないことはない。


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滝壺に到着したころには流石のおいらも弱音をはくにいたる。帰りまた1.5㎞歩かねばならないのかと。いっそ滝壺に飛び込みたい。滝壺をのぞき込む、死ねるかな? ここで一句


“山深く 潜り々て 犬飼の 滝の水の シンの冷たさ”


そうだ、どうせ飛び込む覚悟があるのなら、いっそ滝壺の水を利用してしまえばいいじゃないか。たまに観光地に近寄りたくないなと感じさせる変な人っているでしょう?あれがおいらだ。ズボンを膝上までまくり上げ、滝壺に一歩一歩踏み込んでいく。「ふほおぉうぅ」声がもれる。犬飼滝の水の冷たさといったらない。これならアイシングの効果は覿面だろう。膝をつからせながら腰掛けられるような場所がないので、滝壺の中で膝まで浸かって突っ立っていた。いったいあの人は突っ立ってなにをしているのだろうと思われたことだろうが、あれは膝のアイシングをしていたのです。結構ピンチだったんですよ!!(自業自得なのに威張るな)


10分も立ちつくせば、膝も若干動くような気配を見せ始める。おお、そろそろいいかな。やったぜ、父ちゃん、明日はホームランだ! なにはともあれ、犬飼滝は静かでとても居心地が良く、景色もいいので無料では申し訳ないようなスポットでございました。


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早下山様々。まだワンスポット回れる時間を残っていたので、“熊襲の穴”にも立ち寄る。ここは、熊襲の首領が女装した日本武尊に謀殺された場所という曰く付きの洞穴。


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ひぃひぃ言いながら辿り着いた洞穴で待っていたことといえば、なんちゃらという現代アーティストの手による壁面のペイント。古代と現代のコラボレーションとのことだが、いやもうそういうのしてくれなくていいから。そういう遊びのようなことをされると、そういう遊びが通用するレベル(信憑性)の洞穴でしかない気がしてくるではないか。


洞穴を出ると外はもう日が落ちていた。暗闇の中、洞穴から慎重に下山していくと身体精神ともにかなりすり減らされる。湯治しにきている身にはこの洞穴観光は余計だったかもしれない。反省しつつ、右足が動かなくなる前にさっさと本日二カ所目の湯治へ。


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二カ所目は新川渓谷温泉郷。こここそまさに坂本龍馬が湯治にやってきた場所で、昔から湯治場であった名残を忠実に組んで、いまも風情の残る温泉郷であった(寂れているともいうが)。坂本龍馬が浸かった湯船や坂本龍馬夫妻像などもあるにはあるものの、皆写真だけ撮ってスルーしていくのかもしれない。でもおいらの目的は断然温泉のほうだ。坂本龍馬の入ったのと同じ源泉からなる“日の出温泉”に立ち寄り湯させていただいた。右足にこさえた切り傷に温泉が染みる。なるほど、この痛みをきみも感じたのかね、坂本くん!


ここは、霧島温泉郷の泉質とはまるで違って、ふわふわとした感じの泉質。案内表示を見れば、ラジウム温泉・硫黄温水泉(緩和性低張性温泉)と聞いたこともないような文句が書いてある。まあ書いてある意味はよくわからんがどうでもいい。歴史ある湯治場だから効果は絶大に違いないのだし。それに体に気泡がたくさんつく温泉は好きだ。治癒している感じがするからね。


1日2温泉という今回の養生旅行のノルマをクリアしたおいらは、安堵の心持ちで、霧島を離れることに。目指すは南西、鹿児島市内でごわす!(因みに、地元の人とたくさん話したが、ごわすなどという方言を使っている人は皆目見当たらなかった)


本旅行でまったく計画していなかったのが珍しく食事についてである。どうせ登山中心の旅行なのだから、スケジュール組んでもそのようには進むまいと考えたのである。飯など臨機応変に現場判断だ。ともあれ目星はつけてあった。とありえず、霧島から鹿児島に向かう道中でまだやっているラーメン屋で夕飯をとろう。


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立ち寄ったのは、今朝降り立った空港の近くにある「ざぼんラーメン スカイロードみぞべ店」。「ざぼんラーメン」は鹿児島ラーメンの定番中の定番らしく、鹿児島中にチェーン展開している。まずは市井の味を楽しまなければ。店名のざぼんラーメンをいただいてみたが、基本的には豚骨醤油と考えてもらえばいいけど、豚骨のコクも引き出しながらとても後味さっぱりな面白い豚骨スープ。麺との愛称もよくて、ソツのない一杯だ。これなら普段食いで使えると聞いても嘘じゃないことがわかる。美味しかった御馳走さまでした(☆3.5です!)。食べ終えて店を出ると、もう店は閉まっていた。うん、ギリギリだった。なにより


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腹も満ちたので次の目的地であるラーメン屋へ(え?)。いや、旅行先で4食は基本でしょう。おれは食べる。食べまくるのだ。それが養生にも繋がるってことじゃあないのかね~。とはいえ、流石のおいらも連続でラーメン二杯は食べたくない。というわけで時間をあける。到着したのは“TOHOシネマズ与次郎”。この当時のおいらはどの県であろうと無料で映画が観られる立場にあったのだ。なわけで、「バーン・アフター・リーディング」一枚。・・・気付いた時には、エンドロールが流れているのであった。しまった、冒頭10分で爆睡してしまった。まあいいや、また観に来れば。映画館を出たのは深夜0時前。丁度よい頃合いだ。鹿児島市内の中心である繁華街“天文館文化通り”まで車を走らせる。


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鹿児島の繁華街の人の多さといったら驚きである。深夜0時にしてこの人混み。そして呼び込み。こんなに活性化した繁華街をおいらは久々に見た。鹿児島侮りがたし。どこに入るかは決めずにぶらぶらしていると、飲み屋以外にもおにぎりやでも蕎麦屋でもうどん屋でも甘味処でも、普段昼間営業しているようなありとあらゆる店が深夜帯にまで営業しているのでした。いったい、鹿児島の景気はどうなっているんだ。ぱちくり


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そんな中、飲兵衛が行列を作っているラーメン屋を発見。よし、今日はここにしよう。たまにはネットで事前検索なんてかけずに、現状視察から飛び込んでみるのも悪くない。おいらが4食目に選んだのは「鹿児島らーめん 豚トロ」さん。店内は人が通り抜けられないほどの大繁盛。人気店のようだ。早速店名にもなっている豚トロチャーシュー麺を注文。


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うわあしまった(一日豚骨ラーメン二杯食べることになるとは、流石九州)。見るからにこってりしてそうじゃないか。いやだ、深夜にこんなラーメン食べたくない。恐る々スープを飲んでみる。あらん? ざぼんラーメンと同じく豚骨といってもコテコテはしてないのね。これが鹿児島流ってわけか。でもざぼんのように後味さっぱりしているわけではなくて、マイルドだなと味蕾が感じた刹那、口内全体は別の印象をおいらに伝えてきた。ギトギトで耐えられないと。マアイルドゥなスープに豚トロの溶け出した油がドペシャーンと、これはたまらん。丁度隣に座っていた現地のサラリーマンがいいことを言っておった。「これは酒飲んだあとじゃなきゃ食べられない」なるほど納得。そういう理由で好評なのなら納得だ。(☆3つです!)


初日は、このあと鹿児島の南端の登山口まで移動して、車中泊するつもりだったのだけど、運転中あまりにも眠くなったので、海岸線で適当に仮眠をとることにした。因みに、この旅行は0泊3日。ずっと車中泊で乗り切ります。こんなことは考えたこともなかったんだけど、皇海山と日光白根山の登山口での前夜車中泊の経験がおいらを変えました。まあ宿泊費がかからないからこそのレンタカー借りっぱなしが実現できたわけですが。(2日目につづく)