(前編)山登り元年しめくくり。「関東以北最高峰をゆく」 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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【菅沼登山口  弥陀ヶ池  奥白根山山頂  避難小屋  五色沼  五色山分岐のコル  弥陀ヶ池  菅沼登山口】(20081013日登頂) 


皇海山に登頂して二週間が経った10月中旬。体育の日が天候に恵まれそうだったことを受けて、おいらはとうとう山登元年の総決算として“奥白根山”への登頂を決意した。白根山というと草津白根山を思い浮かべる方もいるかもしれないが、おいらが登ったのは、日光白根山のほう。日光白根山とは、前白根山と奥白根山の総称で、おいらが登ったのは後者の関東以北最高峰として名を轟かす“奥白根山”のほうになる。栃木県の最高峰に止まらず、関東以北最高峰と聞けば胸も高鳴る。まさか“北海道、東北、関東”の三地方の最高峰が関東にあったとは。てっきり赤兜が生息していた岩手あたりが最高峰なのだと決めつけていたなあ。


さておき、今思えば笑えるような話しだが、その当時おいらは“奥白根山”へのアタックに相当びびっていた。というのも、おいらが最初に購入してきた山本「栃木県の山」に掲載されている体力度と危険度のバロメーターが、本山は双方ともマックスの三つ星評価なのだ。山登り元年のおいらに本当に登ることができるのだろうか?


「栃木県の山」バロメーター比較

那須連山縦走 体力度☆☆ 危険度☆☆(登頂済み)

日光男体山 体力度☆☆☆ 危険度☆☆(登頂済み)

皇海山 体力度☆☆☆ 危険度☆☆(登頂済み)

奥白根山 体力度☆☆☆ 危険度☆☆☆


しかし、おいらは上記のように既に栃木に鎮座する百名山を三峰クリアしてきている。那須連山や日光男体山は単独登山ではなかったけど、皇海山登頂でおいらもとうとう2000m級の山の単独登頂に成功した。一段階一段階ステップアップしてきているように思える。今のおいらなら“奥白根山”も登れない山ではないはずだ。“奥白根山”に登頂して、おいらは初心者の殻を破ぎ捨てる! 設定した11.1㎞の登山ルートの詳細を確認して、時計の短針が真上を指す前に、部屋を出た。今回も登山口での車中泊とした。


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菅沼登山口に2時前に到着し仮眠をとる。日の出とともに起き出すと他の登山者の車もいくらか止まっていた。流石、関東以北最高峰だけのことはある。皇海山のときのようにはいかないな。おいらも早速登る用意をせねば。


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到着した時は真っ暗で知りようもなかったが、木々も期待していたとおりの秋色。


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準備完了、クライムオン。目標の奥白根のピークは、前方に見える山を越えた向こうで視認することはできない。今回はどんな感動が待っているのだろうか。(ワクワク)


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登山口から歩を進める。最初はなだらかな秋枯れを進む。


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山の奥へと入っていくと空気が一変する。別世界に足を踏み入れたような感覚。耳をすますと、ピシ、シュウヒュ、パシ、サワ、と山全体が音を鳴らしてリズムをとっていることに気付く。風が吹いているわけでもないのに、これはなんの音だろうか。葉が枝から離れて落ちている音かな。山に歓迎されているかのようでなんだか嬉しい。がしかし、山の音楽に耳をすましていられるのもここまでで、30分も歩けば、視界の遮られた樹林帯に突入する。


本山の厳しさをあえて書くなら、この樹林帯を抜けるまでということになるだろう。急坂と急登が定期的にやってきて、1時間30分完全に楽できるポイントがない。とはいえ、これを厳しいと言っていたら本山を登る資格はまだないというほかない。1時間30分という長い間に定期的に配置されているということは、裏を返せば、その急坂と急登の間は楽なポイントがあるということ。つまりはおいらからしたら案外楽だったなとそういう感想になってしまう。まあ確かに視界が遮られ続ける1時間30分は楽しみもなく、精神的には応えるかもしれないが、それでも自分なりのペースで登ることさえできれば、“奥白根山”はけして難しい山ではないとの印象を受けた。是非、多くの方に登って欲しい山である。


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というのも、樹林帯を抜けて視界が開けたときの感動といったらないから。突如視界に飛び込んでくる透き通るような弥陀ヶ池と初めて姿を現した奥白根山の勇姿。うーん、登ってきた甲斐があったというものだ。水面に白根山を移した池の測道を歩いているといままでの疲れもなかったかのように気分が一新します。山頂も視認できれば気分も楽です。といっても、この池から山頂までは1時間近くかかるのですが。


舌のねも乾かぬうちに前言を撤回しなければならないのですが、じつはここから1時間ほぼ急な直登の登りを余儀なくされます。体力がない人は厳しいかもしんない。でもね、おいらはここの直登は魅力でこそあり、辛い場所ではないと思ってるんです。だって一歩進むごとに振り返えればぐんぐんと視界が開けていくんですもの!


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五色沼が見え始めたなと思っていたら


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燧ヶ岳が望めるようになり、


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最後には遙か彼方まで見渡せるように。この高度を稼いでいく感覚は経験してくれないと伝わらないかな。素晴らしいのひと言です。


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ともあれ、奥白根山の最後の急登はやはり危険なのは間違いありません。急斜面のガレ場が何カ所かあり、そこは落石必至で、よっぽど慎重に登っても落石を起こさないほうが難しいようなズルズル地帯だったりします。やはり自信のない方は、ロープウェイで逆側から登ることをオススメいたします。いや、ほんとに(つづく)