f.湘南音祭当日。(LIVE編②) | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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13:55NICO Touches The Walls」がなんとなしに一曲目を終了。やっぱりダメかな。おいらと同行者は事前に打ち合わせており、昼飯をとりに出るなら「NICO Touches The Walls」しかないと話し合い決めていた。一曲目があまり面白くなかったこともあり、その考えが正しかったことを悟るが、いまさらこの2列目から離れる気にもならない。だって、ライブは始まったばかりなんだもの。


予習していて一番下に格付けされてしまった4人編成のロックバンドなんだけど、「鋼の錬金術士」の主題歌を歌うなど無名というわけではないらしい。本バンドのTシャツを着ている女の子もわりと見かける。確かにボーカルは野菜系の線の細いハンサムではある。いやあしかし細い。どういう食生活をしているとあれだけ細くなれるのか、是非聞きたいものである。ともあれ、二曲目からはオーディエンスも盛り上がりだして、当初の心配を余所に持ち時間きっちり楽しませてくれました。ありがとー


しかし、盛り上がらないのはモッシュピットの最前列に当初から居座っている。テトリス組みである。目当てのアーティストにしか興味がないのか、兎に角聞いているだけという姿勢を貫いている。これと同じことをB’zファンがサマソニでやっていたんなら、そりゃ文句言われても仕方ないよなとか思いつつ、でも裏を返せば、他アーティストに一切興味がないならば、そのアーティストが演奏を終えれば帰るのではないか。さすれば、最前列は普通のライブほどの強度はないのではないか。チャンスはある。


14:45FLOW」が演奏を開始。ファンも多く知名度も高いのか、俄然オーディエンスが盛り上がっている(因みにおいらは何時でも盛り上がっている)。「贈る言葉」をカバーしたり「エウレカセブン」の主題歌歌ったりしているバンドですね。おいらの予習した感じでは「聞ける曲もあれば、面白くない曲もあるな」といった程度。ビジュアルを見るのは始めてだけど、ツインボーカルの5人編成バンド。同行者曰くボーカルがめたらカッコイイとのことである。そうかなあ、おいらのタイプじゃないかな。


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でも軽快なビートはかなりの盛り上がりを見せ、ダイブも大量発生。最前列柵の前で待機している黒人係員の皆さんの目の動きを気にしながら、ダイブが来そうだと察知したら直ちに両手で延髄をカバー。運ばれてきたオーディエンスをさらに前列に送り出します。ここまででも結構ダイブが来ていて、同行者は怖い々痛い々言っている。モッシュピット中央2列目は同行者にとっては未体験のまさに地獄そのものです。おいらも蹴られたり眼鏡を曲げられたり相当のダメージを受けてしまった。そして本フェスのなにがいけないって、フェス側が入場時に手渡したビニールバッグを肩にかけたままダイブしている人がいることだな。オーディエンスの波をゴロゴロと転がりながら、バッグがぶつかるぶつかる。やーやー


湘南フェスは、ライブスペースのブロック指定分けがなくなってしまうほどチケットが売れていないみたいなのに、遊びにいった観客の満足度は高いから、なしてかなと思っていたけど、この時点で納得だね。湘南めっさオモロイわあ


FLOW」の演奏も終盤になってきたころである。強烈なダイブの破壊力がとうとう最前列のテトリス組みの一角を崩したのである。ここだ。できた隙間に同伴者の体半分を滑り込ませて、死守を厳命。一度楔を打ち込めば広げることは容易い。「FLOW」の演奏が終了したころには、見事に一名分の最前列枠を確保したのであった(それもど真ん中!)。


楽器を運び替えてチューニングしている間、スタンディングライブ初参戦の同行者が言う。「ライブ会場には他人への思いやりというのが全然ないね。隙間があいたからってそこに割って入って「死守しろ」と言われても、物凄く悪いことしている気分になるよ。逆に、ダイブでガシガシ打撃を喰らっている人らに大丈夫ですかと手をさしのべたくなるくらいなのに」

「そんなことを言われてもなあ。ダイブは人崩しみたいな要素もあるから、ダイブに耐えられなかったら、そりゃあもうその場を明け渡していくしかないよね。隙間があいたら詰めるのもダイブ客を落下させない怪我防止の意味もあるしやむない行為だと思うよ。それに転んだり気持ち悪くなったりしたお客を助けるくらいの思いやりは皆あるよ。それにほら見てよ。次が9mmだから自然と周囲が9mmファンの女の子だらけになっているじゃない。皆すいません々と割って入ってきているわけだ。だから場所がどうのこうのはあまりないかなやっぱり。以前「クロマニヨンズ」のライブで、プロレスラーみたいな体格の人が急に後ろから来て、どいてどいてと人の肩を掴んでは脇にのけてゆき、最前列まで辿り着いていたのを見たよ。おいらも肩を掴まれて軽く脇に押しやられてしまったわけだけど、そこでそれはルール違反ですとは、やっぱり微塵も思わなかったなあ。逆に前に行くフィジカルがある人間が前に出られるそれだけのことだと思ったよ」


とにもかくにも、15:509mm Parabellum Bullet」の演奏がスタート。おいらがファンということだからでなく、湘南での9mmは見事に爆発していたなあ。荒れ狂うモッシュの中、40分の持ち時間の中でおいらが食らったダイブは40の大台にのろうかというほど。11ダイブは軽く来ていた。嘘じゃないって!


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同行者がダイブの打撃を心底怖がっているので、最前列を確保してからは画のようにおいらが守る格好に。まるでゲイのカップルじゃないか!


9mmの時間も無事に終わる。おいらは同行者を守るのと手にしたばかり最前列の完全なる固定化にも労力をさかねばならなかったため、いつものようには楽しめず。でもCDで聞いてもピンこないと言っていた同行者が、ライブパフォーマンスはいいねと高めの評価をしてくれたことで満足感はあった。因みに、この日の同行者のベストパフォーマンスは1位が「YxCxHxC」で2位が「9mm Parabellum Bullet」であった。


この頃になると“しめじ丼”を食べた店から先なにも食べてない上、ずっと立ちっぱなしなおいら達。途中、飯食いに抜けるはずだった計画もフェスの盛り上がりで抜けるに抜けられずに今に到る。同行者と確認(根性がある同行者に感謝)。こうなったら最後までこの最前列で楽しもう。湘南フェスは、長丁場だからモッシュピットにずっといるのは確かに辛い。けれども、室内でないため、海風が終始火照った身体を冷やしてくれるし、この日はなにより曇天という最高の野外ライブ日和、熱射病の心配などはなく、わりかし辛くは感じませんでしたね。それでも全日で3名の女性が気持ち悪くなって運び出されていたから、体力は絶対に必要ですな。おいらたちも途中抜ける予定だったから、水分を各々500mlしか所持しておらず、残りも微量でこの先ちょい心配だったり。


さて、9mmの演奏が終了すると最前列周辺ががらりと一辺する。9mm時はファンの女の子ら最前列近辺を固めていたのに対して、次のアーティストのファンは男性中心。前進の威力も圧倒的に高く、湘南フェスのファン層も次アーティストのファンが一番多いような印象さえ受ける。9mm以前までとの圧力が全然違う! おいらははたと思い出してしまった。9mmのライブも昔はこの圧力があったと。しかし、先の9mmライブではこのような尋常ではないと思える圧力はなかった。ファンの性別の比率が変わるだけで、ここまで変わるのか。


16:55「ザ・クロマニヨンズ」演奏開始。爆発! ほぼ男性が巻き起こす恐ろしいほどのモッシュ。がしかし、ヒロト最強。1ッ曲目からこれでもかと最強のパフォーマンス。数年前に宇都宮の小さな箱で聞いた時となんら変わらない。ヒロトはクロマニヨンズになって最強のボーカルになったなあと心底思えてしまう。おいらもブルーハーツを確かに若い頃は楽しんだけれど、あの頃より今のほうが段違いで好きだな。歌声そのものに意味がある。おいらは楽曲に歌詞の意味とか求めないんで、歌声も音だし、その音に意味がのかってなかったら嘘だ。「愛している」と歌ったところで、その単語に意味なんてなく、その単語を人間という楽器がどう音として表現したかだと思うんだよ。ああ、ヒロトのボーカルは素晴らし過ぎる。涙が出るほどに。ヒロトが歌えば歌詞なんてなくてもそこにちゃんと意味があるよ。


クロマニヨンズのファンの巻き起こしたモッシュにおいらも共鳴して荒れんばかりに騒いでいたら、同行者からはぐれて結構横に流されてしまっていた。同行者はボコスカダイブの直撃を喰らってしまったそうだが、もう守れるような状況じゃあないんだ、これが。曲間のモッシュがおさまったときですらまともには直立できていないような状況なのだから。混乱のなか、クロマニヨンズの演奏は終わる。当然おいらの本日のベストパフォーマンス。(つづく)