e.湘南音祭当日。(LIVE編①) | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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江ノ島観光をすべて済ませて1130分前。湘南港奥まで行くとそこが「湘南音祭Vol.3」のLIVE会場。チケットが売れていないとの噂は聞いていたけど、確かに想定していたよりも遥かにお客さんが少ない。そして皆路上に座って昼飯を食べている。まったくがっついてないあたりやはり目当ての歌手が皆いるのだろうか。


おいららは同行者と合流した藤沢駅でロッカーを借り、手荷物は皆預けてしまっていたから、所持しているものは財布とペット500ml、酢昆布や飴玉などのエネル源、それにタオルくらいのものだったが、本フェスは入場時に肩から斜めにかけられるライブ会場でよく500円で売っている例のビニールバッグを配ってしまっているので、結果的にそれを捨てないかぎりは誰もが荷物を持っている状態になってしまう仕様のよう。


そいった仕様なら、Tシャツあたりは事前購入できるはと喜び、同行者が喫煙者なので喫煙所に付き合い、その喫煙所の吸い殻のポイ捨てのすさまじさに何がクリーンなフェスだと同行者が本フェスに来ている観客を貶しつつ(俗にいうエコな人なんですこの同行者、すいません)、トイレに時間差で二度行って、ビールを買って(おいらも強制的に買わされた)、ライブスペースに足を踏み入れた。その頃にはすでにOPENING ACTUMBERROWNが音を出し始めていたけれど、まだまだライブスペースには客はまばらで、プレイヤーもやはり我先に前面に出たがる各音が喧嘩しあって一種うるさいメロディとなり、うるささの中で彼らなりの結合点を模索しているような音がひとつ、でも、他の音が皆正面にだけ伸びてくるので、音が結びつかない。一度に沢山の音を聞かされるロックだ。


因みに、OPENING ACTというのは言わば前座である。湘南の場合は、OPENING ACTとして出演したいバンドに募集をかけ、その中から選んでいるらしい。だから彼らも勝ち残った一組のファイターであり、確かに勢いはある。がしかし、いかんせん客はのらないから、ボーカルは客を煽ることだけに終始し始め、そうなるとそこに音楽がなくなっていく。おいらがなんで長丁場のLIVE前にビールなんぞ飲まなければならないのかと(トイレいきたくなるし、ろくなこたないだろ)、最後の一滴を舌に落としたあたりで、OPENING ACTの演奏の終わりを嗅ぎつけたのか、本編目当ての客がぞろぞろと沸いてくる。別に誰もができるだけ前で見たいと考えているわけでもなく、ブロックに散漫と広がって、突っ立っていたり、座っていたり。前方で最前列の柵を握りしめている集団と、その後ろに早くもテトリスのように空間を埋めることに努力している集団は、OPENING ACTの演奏にのるわけでもなく、ただ音を右から左に受け流している。彼らは目当ての集団ありきでたぶんその目当てのバンドが出てくるまで、その位置をキープしようという腹なんだろう。


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おいらは飲みほしたビールの紙コップをクシャと潰し、丁度持っていたコンビニの袋に入れて、入場時に手渡されたビニールバックに放り入れた。さあそろそろ前に行かなければ。兎に角おいらに付いてきてねと同行者に念をおして前へ。まだ始まる前で遠慮している客と客の間を縫うように進み、取り敢えず、礼儀を知らずにならない程度で、モッシュピットの入口まで位置を進めた(画像赤●がおいらら)。モッシュとは、ジャンプしたり押したりすることで、他人に迷惑をかけながら音楽にのって踊ること(wiki曰く「激しい押し競饅頭」)。モッシュピットは、つまりはその激しい押し競饅頭が発生しますよという暗黙の警告がされているエリアといっていい。湘南の会場の作り方を見れば、あきらかにモッシュダイブ容認の会場といえる。日本でいうモッシュダイブとは、モッシュの人の波にオーディエンスがよじ登り、自分の身体を他人に委ねて流れ流れてステージ前方まで流れつく行為をさす。はっきり言ってしまえば、日本のあらゆるライブ会場がこのモッシュダイブを禁止している。実際怪我や後遺症の問題が絶えず、会場側が責任を逃れたいためだが、しかしそれは建前であり、モッシュダイブを本気で禁止している会場とモッシュダイブがんがんお願いしますの会場は一目で見分けがつく。例えば、本湘南のように、人の密度の高い地帯を形成しやすいようなモッシュピットが端から用意されている会場は、暗黙の容認会場である。最前列で見たい熱心なファンでも、怪我をしたくなければモッシュピットの外の両サイドの最前列で見てねという、ライブ会場での慣習が底に存在するのである。


主催が出てきて、OPENING ACTに賛辞をおくり、フェスの開始を告げる。一組目は横須賀出身のバンド「YxCxHxC」。今回おいらが唯一予習してこなかったバンドである。さてその実力はいかに。通常のバンドにDJを加えた構成だったのだけど、同行者が音合わせの段階から早速感心し出す。ベースとドラムがマンツーマンで音合わせているじゃないか。普通アーティストが自分で出てきてあまりやらないよ。これは見所があるバンドだね。バンドの命はベースとドラムだからね。なんか何処にでも書いてあるような感想を言って一人節に入る同行者。彼はバンド経験ありだからたぶん的を得ているのかもしれない。因みにおいらはベースとドラムがどうのこうのとかいう話しはさっぱり分かりません。


12:30YxCxHxC」が演奏し出す。結構聞かせるバンドでDJの介入の仕方やオーディエンスとのセッションも上手い。同行者は演奏前から誉めていたとおり、演奏を聴いてもベースとドラムの息が合い方にベタ惚れ。ベースとドラムが合わせて飛んだパフォーマンスなんてなかなか出来るもんじゃないよ(すいません、踊っていて見逃しました)。「YxCxHxC」が良質なパフォーマンスを披露していても、オーディエンスの遠慮は消えず、各々が周囲に空間を作って踊っていた。こういった状況は当然モッシュではなく、客と客の間に隙間があればダイブはできない。「YxCxHxC」の演奏終了。30分程度だったけど見事に盛り上げてくれました(やんややんや)。同行者も興奮してくれて一安心。


今回のフェスで同行者が好んで聞いているのは「山嵐」だけ。聞き知っているのも「Dragon Ash」程度という状況で、本当にフェスで盛り上がることができるのか少し心配だったのだ。まあおいらが狙って誘ったのだから大丈夫なのは分かっていたけどねえ。でも自身も心配していたし、「山嵐」まで棒立ちみたいになっていたらと思うと、、ライブはコミュニケーションだから、誰のは踊れる彼のは踊れないという風にはならないと思うんだけどね。


フェスは、バンドが代わるたびに一々楽器一式を運び替えてチューニングから始めるのでその間1015分待たされる。この時間は一人だと辛いかもしれないね(連れがいたほうがいいかも@サマソニ一人参戦大丈夫なのか?)。興奮している同行者を嬉しく思いながら、次は「AGGRESSIVE DOGS」だなと、臨戦態勢。ここからは皆予習をしてきたが、今日の面子の中でADは唯一のハードコアのメタルバンド。きっとまだ遠慮がちのオーディエンスを一気に解き放ってくれるに違いない。


因みに、彼らは「クローズ ZEROⅡ」に劇中歌として参戦していたので、音楽ファンでなくても知っている人がおるかもしれんね。


13:10AGGRESSIVE DOGS」登場。キタァー。ドッドドガッガガ ドドドガァ


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その時の衝撃たるや想定を遥かに超えているのだった。ADが演奏し出すや否や彼らのファンであろう集団がモッシュピットに“ヤクザキック”をしながら乱入してきたではありませんか。一気に人が輪を描くように押しのけられてしまう。そこから暴れ始める彼ら。チャンス。行くよと同行者に伝えて、彼らを避けながら前方へ。スタンディングのライブではこういった人の波が崩れる瞬間、誰もがひるむ瞬間が好機なのだ。彼らの暴れ踊りに共鳴しながら、ADの曲に合わせて前へ。一曲目が終わる前には中央2列目まで来ることができました。よし、幸先がいいぞと後ろを振り返ると同行者がいない。探す。いた。元と対して変わらない位置に。目配せで来いと伝えるが無理無理と手を振る同行者。同行者の隣では彼らが目の前のファンを殴ったり、服をひっぱったりしている。(うへー)がしかし、ステージ上ではボーカル、この程度かゴラァと挑発し続け、カーテン袖まで見に出てきている他アーティストをも盛んに挑発、カーテン袖に向かってがなっている。(いや、すげーな、期待以上だぜ)


ADのファンのおかげでモッシュピットの客層は綺麗に入れ替わる。モッシュピット内で間違って聞いていた客層は皆ピット外に弾き出され、モッシュしたいオーディエンスだけでピット内はギュウギュウになる。そしてダイブが発生し出す。これで一通りのライブ会場の形が整ったというわけだ。ADのファンが暴れ出した瞬間、おいららの目の前に居た本当に線の細い母子の親子の母が子を必死に抱き隠し守っている姿が目に焼き付いて離れない。モッシュダイブ禁止は建前なのだから、せめてモッシュピット内危険(体力に自信のない方はご遠慮下さい)の立て看板が欲しい。この母子の子が失明でもしたら、会場に責任を間違いなく問えるね。だからこそ、事前に物を知らないファンがモッシュピットに入り込まないような処置は講じる必要はあると思うな。モッシュダイブ禁止だって実際問題起こるんだから。起こって欲しいんだから


ADも終盤にさしかかって、後ろを振り返ると同行者がピット半ばくらいまで前進していてくれたので一安心。最後までADを楽しんだ。終了後、5列程度後ろにいた同行者に、ココココと声をかけて2列目まで来させる(スタンディングのライブは、理由さえあれば、「すいません、すいません」とお辞儀しながら前に出られる仕組みになっております。この場合、連れが2列目にいるので、同行者は人を押しのけて前にいくことが暗黙の了解的に許されてしまうのです。ここで「割り込まないでください」なんて下司なことを言うオーディエンスはいない)。


同行者と合流して一安心。始めてのモッシュに圧倒されて、ピットの外に出て、バラバラ参戦になってしまうかなと心配だったが、ちゃんと前に来てくれた。いやあ良かった、良かった(根性あって)。まあしかし、楽器入れ替え中に同行者が発することと言えば、ADへの不満ばかり。「後ろでどえだけの女の子たちが転んだり殴られたりしていたか、ADは分かっているのか。そんなオーディエンスの状態も察っせずに、煽るだけ煽って、何様なんだ。「もっと暴れられるだろ!!でも怪我はしないように」最後に怪我はするなと付け加えれば責任逃れられているとでも思っているのか。あれはもうプロのパフォーマーじゃないね。最悪だね」みたいな具合に。ふへえ、これは最大級の賛辞なんじゃなかろうか。ハードコアが一般の方に最悪だと罵られれば、それ以上の喜びはないね。よきかな、よきかな。


ともあれ、ADは仕事を確実に成し遂げたと言える。8月参戦予定のサマーソニックでも初っ端が「HOLLYWOOD UNDEAD」で次が「MASTODON」って構成は、まだ冷たい観客の体を一気にヒートアップさせてライブ会場の雰囲気の基礎を作るという意味があったんだなあ。なるほど。AD良かった、最高ぅ


同行者は不満訴え、おいらは満足を訴えていたらば、三番手が演奏を開始。つづく