☆☆☆☆/『ザ・バンク-堕ちた巨像-』 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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TOHOで『ザ・バンク-堕ちた巨像-』を観てきました。“実話をもとに作成された”ということを前面に出してきていたので、社会派映画なのかと思っていたら、作り手は基本的にスリラーを撮っている。それもスジを追っかけさせる流行のスリラーではなく、50年代のスリラーのような、スジは所詮骨組みであることを理解し、たっぷりと肉付けされた映像と演出を味あわせてくれるスリラー。とはいえ、本作がただの過去のオマージュ映画なのかといえば、そういった体はまったくない。50年代のスリラーといえば、だいたいが地域限定の箱庭劇が相場だったのだが、今回は世界の巨悪が相手であるから舞台も国際色豊かで幅広い。これほど世界を飛び回れば、下手したら観光映画になり兼ねないわけだけど、カメラが演出意図通りにはまっているため、ミスどころか雰囲気作りに一役も二役もかっている。スリラーとして積み上げてきた興奮をスリラーのまま処理せずに、アクションで爆発させてしまったのは、唐突なスタイルへの切り替えで残念だったが、そういう手法もあるにはあるし、個別に見ればアクションシーンの出来もよく、一本の映画として十二分に楽しんだ。でも最後だけアクションというアクションスリラーは一般に受けが悪いので、あまり賢い選択だと思わない。商品としての立ち位置も中途半端になってしまうので、個人的にはスリラーとしてスジを通して欲しかったかな。