人と宇都宮駅東口で買い物をしていたので、帰りに駅東口に店を構えている「そば蔵 會津」さんにお邪魔してきました。今度磐梯山を登ることになったので、その前に市内で味わえる會津蕎麦のほうを味わってしまおうとの意図です。本店も例の如く、おいらの基本書「再訪そば処栃木の名店を歩く」に掲載されているお店です。
さて、基本書には、更科・十割・二八の三種を置いてある店だと記載されていたが、メニューを開くと更科はなくなった模様。十割と二八の二種で勝負しています。福島県産のきいたこともない地方のそば粉をブレンドしてうっているらしく、安くはない蕎麦屋さんです。メニューをみつめながら、むむむと、十割の大もりそばを注文。同行者は大根そば2枚とかきあげを注文。えええ? 始めて入る店で2枚って!今の注文だけで、2000円超えてしまうじゃないか?! 「いや別にいいよ」と同行者。「いやあお金というのは持っている人は持っているものだなあ」とはおいらの談だ。
頼みかたにビックリして指摘できなかったのだが、蕎麦を待つ間にふと気付いてしまった。
「あっ、大根そばってどんなそばだか知ってて頼んだの?」
「へ?」
「あっいやね、大根そばって、大根おろしがついてくるそばだと思ってない?」
「そうだよ。違うの?」
「ああいやね、おろしが付いてるそばだったら“おろしそば”って言うでしょ。これは、栃木でよく見かけるそば状に切った大根をそばに混ぜてあるものなんだよ」
「なんだよそれ」
「昔、そばは贅沢品だったからさ、大根を混ぜて量を増やしたんだよ。因みに栃木にはニラがもりそばの上に大量に盛られている“ニラそば”という変わり種もあるくらいだからね」
同行者がなんで大根混ぜんねんと驚いているところに、そばが到着。もりそばは非常にシンプルなそばでなかなか美味そうである。美味しくいただきました。ごちそうさま。(おわり)っと、おわしたい気持ちでいっぱいである。だって、そんな毎度々蕎麦食うてるからって書くことなんぞあらへんわい。「美味い」これ以上あらへん。この一言以外は無意味なんじゃないのんかい。わしゃもうこれ以上ぶつくさぶつくさと書きたくないのんじゃあ。
ましかし、手打ちとはいえ、よくここまで長さも太さも不揃いにしたものである。不揃いの蕎麦は当然啜り食べることができず、香りを楽しむことはできない。ただコシはあるので歯応え良好、噛むたびに福島産の蕎麦の味が口の中に広がって、蕎麦を食べている感覚はちゃんと得られた。基本的に味を楽しむ蕎麦と断定してよいだろう。
でもあまりお得感のする蕎麦ではない。最近味を楽しむ蕎麦に出会う確率が高くなっているから、蕎麦の味は、使っている蕎麦粉でまったく違うと分かるようになってきた。ここは市内であまり使ってない蕎麦粉を利用し、珍しい味を楽しむことができるから、福島産をピンポイントで狙うなら、一度試してみてもいいだろう。
同行者の注文した大根そばもつまみ食いしてみました。うん、大根の味が蕎麦を浸食して、口内をさっぱり爽やかな一色に染め上げてしまう。蕎麦の味がどうのこうのと語る部分がなにも残されていない、蕎麦というより一つの料理というほかない。とまあそんなこんなで、ここは蕎麦よりも、壁に貼ってある9月開始(予約制)の、天然きのこ鍋や落ち鮎の表記のほうが気になるお蕎麦屋さんであった。落ち鮎食べたいなあ。9月になったらまた来たい。(おわり)
【宇都宮】そば蔵 會津/もりそば(十割) ☆☆☆ /そば湯 ☆☆☆★
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追記。
近くで夕飯する機会があったので、立ち寄って二八のほうも味わってきました。つなぎを使っている分、喉越しなどがよくなって、香りも少しはたつようになるかなと思ったものの、やはり蕎麦の長さと太さが揃ってないと、啜り食べる爽快感は得ることはできず、かえって、二八になったことで蕎麦の味もほとんどしなくなり、なんの食べる価値もないような蕎麦になってしいました。かきあげも注文しましたが低温で揚げているのか、からっとあがっておらず、どうにもこうにもという感じでしたね。今回ばかりは残念でした。
【宇都宮】そば蔵 會津/もりそば(二八) ☆★
そば蔵 會津/かきあげ ☆★
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【素材情報】
そば粉:福島県昭和村、福島県大野のブレンド
つ ゆ:本かえし/昆布
薬 味:葱、本わさび、辛味大根
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