☆☆☆☆/『ウォッチメン』 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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TOHOで『ウォッチメン』を観てきました。ザック・スタイナーと憶えていたのにザック・スナイダーであった(@監督名)。スナイダー監督の評価はかなり上げないといけないかもしれない。前作はまだまだ原作の構図の映画への転用であったが、今回は派手な画はないものの、原作の画をよく動かしているし繋いでいる。そして今回気付いたのだが、この監督の画は、動きのない部分も含めてかなりの割合で大画面向きである。DVDで見ても全体的に小さく見えるに違いない。まだまだ原作の魅力ありきで進行している映画だから、音なくしてフィルムに主題が焼き付いているようなことはあり得ないが、画が見せるし、キャラクターが特異だから、やはり音をつけて耳をすましたくなる求心力はあった。まあそんなこんなで良作である。ここまで時間を使って思う存分やってくれれば、好きな人間は喝采しているに違いない。問題は、本作の位置づけの曖昧さか。本作を鑑賞するには、それなりの社会的歴史的な知識が必要で、そういったところから大人向けと称する人もいるかもしれない。事実暴力描写もあいまってR指定がついている。が、はたして本作を大人向けと言えるだろうか。おいらの周囲の諸先輩はこの映画を絶対に楽しまないと断言できる。この映画は、ある程度のコミックやSFへの寛容さを持ち合わせている人間しか楽しむことができないだろう。そういう狭い世界でこのような主題を取り上げてみても、届くのは主張の骨組みであり構造だけ。そこには主題が宙を飛び越えて見えなくなっていくような虚しさを感じてしまう。結局、本作くらいの完成度でも本作を人には薦めることができない。だからアメコミはメインストリームにはなり得ないのだなとつくづく感じるけれど、こんな長く書かなきゃ感想一つ纏まらない簡単でないところこそ、魅力でありオリジナリティであるのだなとも感じる。