発走ファンファーレが鳴りやみ、太鼓を叩く企画を無事に務めあげた木下優樹奈が戻ってくる。プレッシャーから解放されてか笑顔である。おいらも笑顔。ああ、どの馬が一番で駆け抜けるのか。やっぱりウオッカがいい。牝馬史上最多G1勝利数が塗り替えられる瞬間が見たい。がんばれ、ウオッカ。友人に馬券関係なく何が勝って欲しいのか訊ねてみる。スーパーホーネットとの返答。うん、人それぞれである。
黙々とゲートインする各馬。ゲートが開いて飛び出したのはコンゴウリキシオー。そしてローレルゲレイロが行く。外国馬もおして前へ。おっ内田も前につけているじゃないか(トウショウカレッジ)。これでは前は潰し合いになってしまうぞ。やはり前前で競馬していた馬は勢いがなくなり始める。直線に入りターフビジョンにウオッカが映る(場内大歓声!)。ウオッカはどこに出すのか。しかしウオッカ出られない(悲鳴!)。ターフビジョンはウオッカが前左右どこにも出すところがなく往生しているのを映し続ける。場内われんばかりの悲鳴! 長い。こんな長く感じた直線の攻防はない。競馬の直線なんてものは一瞬で決着がつくのが大概なのに。ダメなのか、きっと誰もが思ったに違いないその時。ウオッカの左前方の馬がよろけた。武豊はその隙間にかかんにウオッカの鼻頭を突っ込む、体当たりでこじ開けた!
おいらの眼前を最初に通過したのは、四位騎乗のディープスカイ!!!
そして続くは典騎乗のカンパニーの外差し!!
ウオッカはいまだ3番手!
4番手にファリダット、安勝やめて!
大歓声がスタンドを包む。ウオッカ恐るべし末脚。3番手にいたのはおいらの目の前の一瞬であった。ゴール手前200メートルあたりまで閉じこめられていたウオッカだが、包囲をこじ開けたあとは、電撃の如く先頭に躍り出た。その瞬時のことといったらもう。完勝である。圧倒的な完勝。すごい! すごいぞウオッカ!!
クールダウンしたウオッカがこちらに戻ってくる。
武騎手に、ウオッカに、祝福の言葉を投げかける。
おいら以外には撮り得ない競馬観戦史上最高の一枚。おいらの祝福の言葉に笑顔で答えてくれた武騎手。キュン死に。あーもう絶対ファンになっちゃう。
ウオッカを中心にそえた一枚も。
武騎手に首筋をたたかれて気持ちよさそうに目をほそめる。ああ幸せだなあ。幸せになれるチャンスなんてそこらに転がっているのに、何故みんな気付かないのだろうか。寂しくなってしまった。
■現在までの収支合計 +70円
(+20270円 -20200円)
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着飾って出てくるウオッカ。
表彰式のために武騎手のもとに近づいていく。
お疲れ様。おめでとう。そして、ありがとう。(つづく)