『三たてそば蕎音』(宇都宮)- 蕎麦漫遊記20。 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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宇都宮駅東口からほど近いところに店を構えている「三たてそば蕎音」さんにお邪魔してきました。“蕎音”は“しずる”と読むそうで、蕎麦をすする音からご主人が考案したそうです。なんちゅう情報は本に書いてあることの受け売りで、当然、本店も例の如く、おいらの基本書「再訪そば処栃木の名店を歩く」に掲載されているお店です。


さて本店にはメニューがもりそばしかありません。非常にシンプルでいいですね。早速注文。・・・。えーと、品物が到着するまで店名にも掲げられている“三たて”が何を指しているのかお教えしておきましょう。因みに、おいらも本店に来る前に用語辞典で調べただけで、それまではまったく知りませんでした。で“三たて”とは、「蕎麦は、挽きたて・打ちたて・茹でたて、の三要素がそろって始めて最良となす」とかそんなとこ。


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などと説明しているうちに到着。うん、美味しそう。海苔も別皿で嬉しい。箸で蕎麦をつまみあげる。細めに切り揃えられた綺麗な蕎麦。早速、口内に啜り入れる。ずすぅうs。うん、美味い。まず喉越し。そして歯ごたえ。喉越しのよさは香りを鼻腔に届け、噛みごたえは、味を口内に満たすのに十分な時間を与えてくれる。美味い。


おいらは本店を大層気に入ってしまった。気に入ったと書くのだから、蕎麦が美味いのは当たり前だが、つけ汁と蕎麦の相性もよく練られてあり申し分なかった。そば湯も美味しい。それらは皆が自分の舌で味わってくれればそれでいい。本店の魅力はそれを当然のごとくにお客に提供している点である。


本店の蕎麦は美味い。自分なりの美味しい蕎麦という完成図に近づけるにはどうすればいいのか、練りに練られたレシピがあり、そのレシピの完成度に奢らず細部にいたるまで手を抜かずにたかが一食に心血を注いでくれている。客商売で客を喜ばせるのは当たり前と言わんばかりの、簡潔さ。味もさることながら値段も500円と破格。蕎麦は美味くしようと思えば、いくらでも美味くなる。しかし、敷居が高くなる。名店と奢る。食は気である。本当の幸福食は緊張した状態では感じ得ないのである。ここの蕎麦は細部の争いであれば他店に適わないかもしれない。しかし、細部と細部のバランスが相乗効果を生み、最上をうんでいるのである。それこそ職人技と言わないでなんと言おう。傑作である。


その後、本店には何度か足を運ばせていただいている。また足を運ばせる吸引力の要因に味の占める割合は高い。しかし、本当の店とは味でなく時間で勝負するものだ。この店は蕎麦をすすっている時間までも演出しているようなマジックがある。それつまるところ妥協しない努力の蓄積があるのだが、それを人に感づかせないでふるまっているからこそ、人は魔法のようだと感じるのだ。気兼ねすることなくお腹一杯ほおばれる蕎麦。気軽に立ち寄りたくなる敷居の低さ。すべてが心地よい。


本店にはドアがない。店内は開放的に外へ開かれている。暖簾をくぐって席につき、唯一のメニューのもりそばを注文し、自分の前に蕎麦が出てくるの待つ。おいらは本店で味わえるそんな時間を愛す。


【宇都宮】三たてそば蕎音/もりそば ☆☆☆☆★ そば湯 ☆☆☆★




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【素材情報】

そば粉:日光(長畑)産を七割使用

つ ゆ:カツオ、昆布

薬 味:葱、本わさび


【蕎麦まとめページ】

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