『玄そば 文石庵』(鹿沼)- 蕎麦漫遊記19。 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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鹿沼警察署への仕事の帰りに寄ってきたお店で、本店も例の如く、おいらの基本書「再訪そば処栃木の名店を歩く」に掲載されているのですが、ここは“水そば”の看板を見かけたことがあって、“水そば”を出しているくらいだから、基本書にも載っているだろうと確かめたら、やはり載っていたという逆輸入的なお店である。


店内はお昼時ともあって大層な賑わい。空いていた座席にあがってメニューを広げる。ふむふむ、広げる必要はなかった。おいらの腹づもりは暖簾をくぐる遥か以前からとうに決まっている。ここはやはり“十割そば”と“水そば”のダブルコンボ以外はあり得まい。蕎麦は2合くらいでは腹一杯にならないもの。たま、行きま~す!


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店側がまず“十割そば”から出しますとのこと。待っていたらば到着。うむ、蕎麦らしい外観。美味そうだなと見つめていると、「うちの蕎麦は塩で食べると蕎麦本来の味が感じられて美味しいですよ。塩で楽しんだあと、汁でどうぞ」とのことである。うむ、置かれた塩を手に取れば、なにやら怪しげな色をしたパハール岩塩と表示を見てとれた。なるほど。しかし塩で食べて欲しいというのはおかしい。うちのつけ汁では蕎麦のかおりを消してしまいますと言わんばかりである。しかし、そこは突っ込んではいけない。百中百のつけ汁が、香りだけに限定するなら、減少させる効果しか持っていないのであるから。やはりそこは蕎麦を愛している御主人が、つけ汁をつけてしか蕎麦を食べないお客さんたちに、本来の蕎麦の香りも楽しんで欲しいと考えた結果の塩なのである。なにをか言わん。ともあれ、おいらには塩もつけ汁も関係のない話しである。なにせ蕎麦はそのまま食うのが一番美味いと思っているのですからな。


さっそく箸で数本つまみあげていただきましょうかね。おお、結構太めの蕎麦である。ん? こっちは細いな。わりとばらつきを持たせているようである。統一しないことによっていった何を醸し出そうとしているのか、知っている人がいたら教えてください。おいらには基本的に統一しない理由がよくわからない。爆弾的は効果はあるけどねえ。自分の摘んでいる蕎麦の太さなど気にせず吸い込めば、その時々で喉越しや食感が異なる。それはそれで遊びがあって贅沢かもしれない。でもそれを基本で出されるとちょっと。


そこらへんは置いておいて、早速一口。ふむ、美味い。蕎麦らしい蕎麦を出している。が、香りもたつという形容とはほどとおく、味も噛めば掴めるが、輪郭がはっきりとしない大味である。かってに命名していいなら“にがほろあまさい”感じ。これは恐れずにあえて言うしかあるまい。ここの蕎麦粉は北海道産であると! 食べている時は知らなかったが、帰って調べてみるとやはり北海道産であった。蕎麦の産地を当てられるほどの舌は持ち合わせていないが、北海道産だけは何故か分かる。栃木の取れ立ての生きた蕎麦ばかり食べているから、空輸で送られてくる北海道産蕎麦粉だけは、生きてないというか、兎に角一線を画しているという他ない。ここの蕎麦は悪くないが、オススメするほどの特筆性は感じられない品であった。


“十割”を食べ終えても“水そば”は長い間出てこなかった。色々と手間がかかるようである。単に水に盛ればいいというわけではないらしい。お急ぎの方は注文する際に確認するのが宜しかろうと思います。


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やっと“水そば”到着。“水そば”は塩で食べてくださいとのこと。汁はお好みでどうぞという付け足し。ふむ、水でなく氷水に蕎麦が入っているのか。なににも付けずにさっそく一口。うん、うまい。基本的に十割とは違わない味である。水そばのメリットは最後まで蕎麦がしまった状態で頂けるということにつきた。普通蕎麦は、ざるに盛られて提供されていただく最初の一口と最後に食べる一口が明らかに異なる。しいていうなれば、蕎麦はしまっている前半が勝負の食べ物と言えるのである。いままで書かなかったが基本的にそいうものだ。だからいままで前半の蕎麦の味に限定して感想を書いてきた。後半の常温におちた状態の蕎麦を語るにはまだ知識不足だからである。が、ここの“水そば”は氷水でしめ続けているので、変化を最小限におさえることに成功しており、やはりそこは誉めておく必要がある。でも冷水にしめ続けられている蕎麦はあまり香りませんけどね。盛られた水も蕎麦がしみ出して(たぶん?)なかなか面白い味わいでした。因みに、蕎麦を塩で食べる必然性は皆無といっていい。つけ汁の風味で蕎麦の風味を消さないためという代替というだけであって、若干蕎麦の甘みを引き立てるものの、ミネラルなどの余計な味も混ざるので総じて良いというわけではない。やはり蕎麦は何も付けないで食べるにかぎる。かえしはやや辛めでした。


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店を出たら売り切れの看板が出ていました。おお危ないところだったのか。やはり地元に愛されている蕎麦屋さんということなのだろう。


【鹿沼】玄そば 文石庵/十割そば ☆☆☆★/そば湯 ☆☆☆★

    玄そば 文石庵/水そば ☆☆☆★


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【素材情報】

そば粉:北海道産と自家製粉(鹿沼市上水野産)のブレンド

つ ゆ:本がえし/昆布、サバ、本ガツオ

薬 味:葱、本わさび


【蕎麦まとめページ】

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=822116157&owner_id=1064357