10月9日、ポーランドの映画監督アンジェイ・ワイダが90歳で亡くなりました。遅ばせながらご冥福をお祈りいたします。
私としては小学6年だか中1の時に深夜テレビで放送していた『地下水道』『灰とダイヤモンド』をビデオ録画したのが最初でしたが、はっきり言ってこの時はあまりよくわかりませんでしたね。本当に面白さがわかったのは高校2年頃にLD再発で購入して再見してからですね。これより先に廉価版ビデオで観た『大理石の男』の方がよくわからないところもあったけど政治サスペンスとして楽しめました。さらに深夜テレビで放送された『約束の土地』が美しい映像と廃頽的グロデスクさを持ち合わせた大作でこれでワイダが好きになりました。旧作などビデオが中心でしたが、劇場で観たのは劇場とも言えないかもしれませんが多摩公民館で観た『コルチャック先生』が最初で、後は岩波ホールで『聖週間』『ヴィルコの娘たち』『パン・タデウシュ物語』『カティンの森』『菖蒲』『ワレサ 連帯の男』を観ました。遺作も2017年6月に公開ということで早く観てみたいです。
ということで、本日の2本立名画劇場はアンジェイ・ワイダ監督作品から2本。
一本目は『ダントン』でワイダ本人が劇場で上演した戯曲『ダントン裁判』の映画化。フランス革命の立役者ダントンとロベスピエールの対立からダントン逮捕、強引な裁判の末ダントンが処刑されるまでを描いており、ダントン役にジェラール・ドパルデュー、ロベスピエール役にワイダの『約束の土地』『コルチャック先生』などにも出ており舞台でも同役を務めたヴォイチェフ・プショニャクが演じています。フランス・ポーランド合作で当初はポーランドでロケをする予定でしたが、戒厳令によりポーランドでの撮影が事実上不可能になったためフランスロケに切り替えられました。ワイダ本人は否定してますが、時期が時期だけに当時の批評としてはダントンをワレサになぞらえてるものが多いですね。私から見てもそう見えます。ただ違うのはワレサは処刑されず大統領にまでなってるところですね。
二本目は『世代』でこれがワイダの監督デビュー作になります。本当はワイダの師匠にあたるアレクサンデル・フォルトが監督する予定だったのが助監督だったワイダを監督に推薦して思いがけずデビューすることになったようです。物語は第二次大戦後のポーランドで不良少年がドイツ軍に仲間を撃ち殺され、ふとしたことから就職し青年組織に入ったことからドイツへの抵抗と団結に目覚めていくという話で、まだ粗削りなところも見受けられますが、このデビュー作にその後のワイダのすべてが詰まっていますね。