二本立名画劇場No.4『皇帝の鶯/カサノバ』 | 書きたいことを徒然と

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う~ん、このブログ今年全然書いておらず気が付いたらもう大晦日。2017年も終わってしまいますが、せめて1回だけでも書いておきましょう。

 

まず一本目は『黄金の鶯』でアンデルセン童話をチェコの人形アニメ監督イジィ・トルンカが映画化したもの。アンデルセン童話では有名な物語ですが、オリジナルであろう(または他のアンデルセン童話をモデルにしたか?)病気の少年のパートが実写で少年が夢に見る少年皇帝のパートが原作要素になります。ただ、全体にセリフが全くないので原作童話よりも進行としてはいささかわかりづらいところがありますね。ですが、人形アニメパートは美しくストーリーよりも映像美を味わった方がいい映画です。

 

そんでもってこの『黄金の鶯』の影響を受けたといわれてるのが二本目のフェリーニの『カサノバ』ですが、この映画が私大好きで生涯のベストワンであり大きく影響を与えた映画ですね。原作は『カサノヴァ回想録』ですがほとんど原作にこだわらずフェリーニのカサノバとしてやっちゃってます(『カサノヴァ回想録』は私チャレンジしてみましたがすぐにギブアップしてしまいました。フェリーニもどうも回想録は読んで面白くなかったようです)。これ以前のカサノバの映画化は美女と恋をしながら冒険するといったまるで007かよといった感じの映画化が多かったようですが、この映画でカサノバに扮するのがドナルド・サザーランドでとても美男とは言えない個性的な顔立ちで、その他の女性を含めた登場人物も個性的な顔立ちの女性が多いです。さらに美術・衣装も独特で異様な世界が醸し出されており、まさにイジィ・トルンカの人形アニメのような現実とは思えない世界が形成されてます。ストーリーとしては一貫したストーリーではなく、回想録から所々のエピソードを取りながらフェリーニのオリジナルをちょこちょこ入れるといった『甘い生活』や『サテリコン』の手法を使っており、ストーリーを追うよりもこの異様な映像美を味わうべき映画ですね。

この映画製作は1976年で日本公開が1980年末のお正月映画としての公開でした。私が見たのはTBSの深夜名作劇場で放送されたものを録画して何回も見て、今は亡きレーザーディスクで二番目に買った映画でした(最初に買ったのは同じフェリーニ監督作品『そして船は行く』)。最初に見たテレビ版はなぜか英語版で、レーザーディスクはイタリア語版でした。最初にDVD買ったときは両方が収録されてましたが、近年出たブルーレイ版では英語・イタリア語に加えてなんと日本語も収録されてました。テレビで日本語版が放送されたことがあるという話は聞いたことがありましたが、こういうアート映画では吹き替えなどつかないだろうと思って一生見ることもないと思ってましたがまさかの日本語収録にビックリしてすぐに日本語吹替版で見てみました。ドナルド・サザーランドのフィックス声優というと家弓家正とのことでしたが、こちらでは金内吉男(『パワープレイ』でピーター・オトゥール、『アマデウス』でジェフリー・ジョーンズ扮するヨーゼフ二世の声を担当)が担当しており、カサノバのインチキ臭さがより漂う感じになっておりなかなかよかったですね。

 

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