『お兄さン、このお店は初めて?』
ココはO市の繁華街にあるラブホテル。
私に問いかける女性は、いわゆる風俗嬢と呼ばれる女性だ。
眞知子サマと別れてからもう2年が過ぎた。
何もかも失った私は、最後には職まで失ってしまい、長年やっていたデザイナーという仕事も辞めてしまった。
現在はひょンなコトから誘いがあり、医療法人で事務長を務めている。
ドクターというのはストレスが溜まる職なのか、遊び方も半端なモンではなく、このトシになるまで行ったコトの無いようなお店にばかり連れて行かれる。
実は私、この歳になるまで風俗店には行ったコトが無く、東南アジアのデート嬢もお断りしたホドのヘタレっぷりで、この手のお店には近づく機会も無かった。
「なンやリンくん、キミは風俗童貞かいナ?ホンなら連れて行ったろ!」
と、理事長やドクター達に連れられて渋々ながらココまでやって来た。
―――――ま、今さら操をたてる相手もおらンワケだしなぁ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『え?え?え?』
―――――やっぱり、なぁ・・・
お姉さンは私の下半身を見て眼を丸くしている。
それは、有るべきトコロに有るモノが無いからだ。
多少は復活してきているモノの、一度レーザーで脱毛した下半身は産毛程度しか生えてこず、暗がりで見るとほとンど無毛に見える。
おかげでこれまで、旅行の際は大浴場に入れず、サウナやゴルフなどは断り続けていた。
最近は「陰毛カツラ」なるものが販売されているので、購入しようか迷っているトコロだった。
「い、いやぁ・・・。ボクって、体毛があンまり無いンですヨ。ホラ、ワキもスネもね?」
『あら、ホント!でも清潔そうでいいじゃない♡』
どうやら変な風にはとらずに、かえって好感をもたれたような感触だった。
『それで、お兄さン歳はおいくつ?』
「あ、たぶンお姉さンより少し上です」
『あ、じゃあ、アタシの方が年上ネ♡いろいろ教えてあ・げ・る』
―――――ん?店のパネルには29歳と書いてあったから、私の方が5歳も上なンだが・・・
怪訝な顔をしている私にお姉さンは面白いコトを言った。
『ああ、パネルね。ウチのお店って、最年長は29歳までなの。
でも、アタシは売れっ娘だから延長されてるンだけど、年齢は29歳以上は表示できないのヨ♡
ごめんネ。でも若い娘にはないサービスをたっぷりして、あ・げ・る♡』
・・・・・・・・・・・・・自粛します・・・・・・・・・・・・・・・
『お兄さンって、とっても感度がイイのネ!
アタシ、すっごく楽しかったワ♡
ねえ、そのケータイちょっと見せて』
さすがはプロと言うべきか、私の知らないテクニックで未知の世界を垣間見たが、所詮は愛の無い行為と思っていた。
最初は私が緊張してのだが、そのうちカラダが勝手に反応し始めた。
眞知子サマから2年半も調教され続けていたから、アタマでは忘れていてもカラダの方はそうではなかったようだ。
それに、お姉さンは途中から仕事を放棄したようにも思えていた。
『あれ、なに?お兄さンって医療関係者だったの?』
―――――な、なにを!?
お姉さンは私の携帯を勝手にいじくりまくっていた。
『アタシね、これでも昼はS市民病院でナースをやってるの。
なぁンだ、同業者さンだったのネ!
アタシの番号とアドレスを入れといたから、また連絡してネ♡』
「あ、あ、あ、は、はい。」
―――――なンだろう?営業かなぁ・・・・
道場の友人は複数の風俗店に複数のお気に入り嬢がいて、毎週頻繁に営業メールが入るらしい。
まぁ見られて困る相手もいないワケだから、綺麗な妙齢の女性からメールをもらうのも悪くないだろう。
ちょうど時間となったので、ホテルを出た私は理事長やドクター達の待つ居酒屋へ行き、ソコで皆の戦果を聞かされ、そしてその日は解散となった。
そして、翌日。
そろそろ診療時間も終わりに近づいてきたので、スタッフは帰り仕度を始めていたが、突然私の携帯にメールの着信があった。
『件名:今、○○にいます』
―――――ん?さっそく営業か?
慌てて本文を読ンでみる。
『○○にあるレストランバーで食事しませンか?
もっとアナタのコト知りたいナ♡
連絡待ってます(≧ω≦)』
つづく
4月下旬から始まった私の記事「眞知子サマ編」は、一昨日のアップを最後に完結しました。
途中6回の削除がありましたが、最後まで書き続けられたのはひとえに読者様のコメントのおかげです。
こンな変態ネタのブログにお付き合いくださり、誠にありがとうございました。
心から感謝するとともに、厚く御礼申し上げます。
ところで、「サヨナラ・・・」の記事の一番下には、福山雅治バージョンの「サボテンの花」の動画リンクがあるコトはご存じでしたでしょうか?
アップしたその日は、私のアタマの中でずっとヘビーローテーションされていたので、翌日にリンクを貼らせていただきました。
お見逃しの方は、是非ご覧くださいませ。
さて、これからこのブログは「エピソード2~淫乱ナース編~」となるワケですが、エピソード1を超えるような内容にはなりそうもありません。
私自身がモテないオトコであるので、そうそう新しい恋愛ができるはずもなく、またこンなブ男を愛してくれる女性もそンじょそこらにはいないので、退屈な内容になるかもしれません。
「オモロないぞ~!!」
「もう辞めてしまえっ!!!」
というお叱りの声が無いよう努力いたしますので、これからもお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。
途中6回の削除がありましたが、最後まで書き続けられたのはひとえに読者様のコメントのおかげです。
こンな変態ネタのブログにお付き合いくださり、誠にありがとうございました。
心から感謝するとともに、厚く御礼申し上げます。
ところで、「サヨナラ・・・」の記事の一番下には、福山雅治バージョンの「サボテンの花」の動画リンクがあるコトはご存じでしたでしょうか?
アップしたその日は、私のアタマの中でずっとヘビーローテーションされていたので、翌日にリンクを貼らせていただきました。
お見逃しの方は、是非ご覧くださいませ。
さて、これからこのブログは「エピソード2~淫乱ナース編~」となるワケですが、エピソード1を超えるような内容にはなりそうもありません。
私自身がモテないオトコであるので、そうそう新しい恋愛ができるはずもなく、またこンなブ男を愛してくれる女性もそンじょそこらにはいないので、退屈な内容になるかもしれません。
「オモロないぞ~!!」
「もう辞めてしまえっ!!!」
というお叱りの声が無いよう努力いたしますので、これからもお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。
『ねぇ、この写真はどうする?フレームは持って帰りたいケド、さすがに写真は持って帰れないの』
あれから3日経った。
今日は週末、とうとう最後の日を迎えてしまった。
ベッドの枕元には様々な飾りが置いてあったが、その中でもフォトフレームは眞知子サマのお気に入りだった。
大小様々なカタチのフレームが4つあるのだが、私はデジカメの画像をフレームに合わせてプリントアウトして、綺麗に見えるようにレイアウトしていた。
『データはアタシも持ってるから、リンがこの写真を記念に持っててヨ♡』
―――確かに。
これから仮にも夫婦がやり直すンなら、こンな写真は不要ですナ・・・
眞知子サマの旦那サンは、最後まで私の存在を詮索しなかったようだ。
ハナシを聞いていると、嫉妬心で家を出たのではなく、他人に抱かれ続けている(で、あろう)オンナと一つ屋根の下に住むのが、自分が下に思われているようで我慢ならなかったらしい。
今回は身辺を全てリセットする条件で旦那サンを迎えるワケだから、変なモノを持ち帰るワケにはいかない。
「ゴメンなさい。
何もかも失った私が、この写真を引き継ぐにはツラ過ぎると思います。
申し訳ありませんケド、今ココで切り裂いても良いですか?」
眞知子サマは瞬きをせずにしばらく私を見つめていたが、観念した表情で目を閉じ、そして小さく頷いた。
『コレはあそこの水族館だったネ。
コッチは○○○ランド、コレは○○海水浴場、そしてコレは○○山へハイキングに行ったトキの写真ネ♡』
この2年くらいで、2人はいろんなトコロに出掛け、そして写真にその楽しい思い出も封じ込めていた。
そして・・・・・・
眞知子サマと私は、泣きながらさっきの写真を破いている。
―――こンなに辛い作業があるのだろうか・・・
まだ好き合っている2人が、楽しかった思い出を、美しい記憶を、自らの手で泣きながら切り裂いている。
―――コレで良いンだ。2人にはこのくらいの罰は必要なンだ・・・
私はともかく、眞知子サマはとりあえず家庭には戻るコトが出来る。
子供たちもひもじい思いや寂しい思いをしなくなれる。
何かを得るタメには、必ず何かを失わなけらばならない。
この世は全て等価交換なンだ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『じゃ、アタシはコレで帰るわネ。
ありがとう、リン。
短い間だったケド、とっても幸せだったワ。
サヨナラ・・・』
自分のクルマに荷物を積み終えた眞知子サマは、名残惜しそうに私を見つめていたが、私は涙のせいで眞知子サマの顔がよく見えなかった。
『元気でネ!
寝るトキは寝冷えに気をつけるのヨ。
リンはスグお腹壊すンだから。
それから、晩酌はホドホドにするのヨ。
それから・・・』
まるで遠くへ旅立つ子供に諭してるような口振りで少し笑えてきたが、こンな小言でも今は何より嬉しかった。
そして・・・
口を噤んだ眞知子サマはクルマに乗り込み、手を振りながら走り去っていった。
手は振り続けていたが、振り向くコトは無かった。
空は晴れ渡っていたが風はまだ冷たい、2月の終わりごろの出来事だった。
想い出つまったこの部屋を 僕もでてゆこう
ドアにカギをおろした時 なぜか涙がこぼれた
君が育てたサボテンは 小さな花をつくった
春はもうすぐそこまで
恋は今終わった
この長い冬がおわるまでに
何かをみつけて生きよう
何かを信じて生きてゆこう
この冬がおわるまで
サボテンの花(福山雅治バージョン)
あれから3日経った。
今日は週末、とうとう最後の日を迎えてしまった。
ベッドの枕元には様々な飾りが置いてあったが、その中でもフォトフレームは眞知子サマのお気に入りだった。
大小様々なカタチのフレームが4つあるのだが、私はデジカメの画像をフレームに合わせてプリントアウトして、綺麗に見えるようにレイアウトしていた。
『データはアタシも持ってるから、リンがこの写真を記念に持っててヨ♡』
―――確かに。
これから仮にも夫婦がやり直すンなら、こンな写真は不要ですナ・・・
眞知子サマの旦那サンは、最後まで私の存在を詮索しなかったようだ。
ハナシを聞いていると、嫉妬心で家を出たのではなく、他人に抱かれ続けている(で、あろう)オンナと一つ屋根の下に住むのが、自分が下に思われているようで我慢ならなかったらしい。
今回は身辺を全てリセットする条件で旦那サンを迎えるワケだから、変なモノを持ち帰るワケにはいかない。
「ゴメンなさい。
何もかも失った私が、この写真を引き継ぐにはツラ過ぎると思います。
申し訳ありませんケド、今ココで切り裂いても良いですか?」
眞知子サマは瞬きをせずにしばらく私を見つめていたが、観念した表情で目を閉じ、そして小さく頷いた。
『コレはあそこの水族館だったネ。
コッチは○○○ランド、コレは○○海水浴場、そしてコレは○○山へハイキングに行ったトキの写真ネ♡』
この2年くらいで、2人はいろんなトコロに出掛け、そして写真にその楽しい思い出も封じ込めていた。
そして・・・・・・
眞知子サマと私は、泣きながらさっきの写真を破いている。
―――こンなに辛い作業があるのだろうか・・・
まだ好き合っている2人が、楽しかった思い出を、美しい記憶を、自らの手で泣きながら切り裂いている。
―――コレで良いンだ。2人にはこのくらいの罰は必要なンだ・・・
私はともかく、眞知子サマはとりあえず家庭には戻るコトが出来る。
子供たちもひもじい思いや寂しい思いをしなくなれる。
何かを得るタメには、必ず何かを失わなけらばならない。
この世は全て等価交換なンだ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『じゃ、アタシはコレで帰るわネ。
ありがとう、リン。
短い間だったケド、とっても幸せだったワ。
サヨナラ・・・』
自分のクルマに荷物を積み終えた眞知子サマは、名残惜しそうに私を見つめていたが、私は涙のせいで眞知子サマの顔がよく見えなかった。
『元気でネ!
寝るトキは寝冷えに気をつけるのヨ。
リンはスグお腹壊すンだから。
それから、晩酌はホドホドにするのヨ。
それから・・・』
まるで遠くへ旅立つ子供に諭してるような口振りで少し笑えてきたが、こンな小言でも今は何より嬉しかった。
そして・・・
口を噤んだ眞知子サマはクルマに乗り込み、手を振りながら走り去っていった。
手は振り続けていたが、振り向くコトは無かった。
空は晴れ渡っていたが風はまだ冷たい、2月の終わりごろの出来事だった。
想い出つまったこの部屋を 僕もでてゆこう
ドアにカギをおろした時 なぜか涙がこぼれた
君が育てたサボテンは 小さな花をつくった
春はもうすぐそこまで
恋は今終わった
この長い冬がおわるまでに
何かをみつけて生きよう
何かを信じて生きてゆこう
この冬がおわるまで
サボテンの花(福山雅治バージョン)
↑よかったらお聴きください。
Fin
Fin