何か変な電話があったかな?
発信履歴があるんだけど。』
――な、な、何かやあらへンがナ
・・・
謎の電話から4~5時間は経っただろうか・・・
昨夜は夕方から深夜まで呑ンでいたからホントは眠くて仕方ないンだケド、明け方の電話で心臓が凍りついた。
しばらくは動悸が収まらなかったが、それでもかなり酔っていたせいか、気がつけばいつの間にか眠っていたようだった。
今、メールの着信音が鳴ったので慌てて飛び起きたのだが、梨乃さんからの内容はいたってのんびりしている。
私はすぐさま返信メールを送った。
「RE:ごめんなさい
何か、どころじゃありませんヨ!
旦那サンが激怒して、怒鳴り込んできました!」
『RE:RE:ごめんなさい
ヒョエ~!』
――ヒョエ~、や、あるかい!
「無題:
今、電話してもいいですか?」
『RE:無題
いいよ~♡』
――な、なンと呑気な・・・
私はちょっと呆れてしまったが、早く真相を知る必要があるので、スグに梨乃さんへ電話をかけた。
「もしもし!」
『あ、リンくん?
ゴメンねえ~♡』
・・・・・・・・・・・・
梨乃さんが言うには、コトの真相とは、以下の通りだった。
私が帰った後に再びバーに戻り、マスターを相手に2時間ほど飲んでいた。
途中で隣の女性が帰ったが、その時に梨乃さんの携帯を間違えて持って帰り、気付いたトキはもうかなり時間が経っていた。
顔見知りの客だったので、仕方なくマスターに連絡を頼んでいたが、一時間ほど前にその女性が謝りながらケーキと一緒に携帯を自宅まで届けに来た。
それで発信履歴を見ると、私にかけた形跡があったのでメールをした、と言うワケだった。
「ほ、ホントですかぁ?
私、心臓が止まるかと思ったンですよぉ~」
『ホントよホント。
ゴメンねえ~♡怖い思いさせちゃって。
ところで、リンくん。今日は時間ある?』
「は、はぁ。今日は何も予定ありませんケド」
『じゃあ、午後からカラオケ行こ!
今日はお詫びにウチが奢ってあげるからネ♡』
「か、カラオケって、この前のお店ですか?」
『そうヨ!
お風呂とベッドのあるカラオケ屋さん♡』
――え、え、え、えええええ?
昨夜、クルマでしたばっかりなのに・・・
私の名はRIN。
恋の傷のカサブタは、どうにか剥がされずに済んだ34歳。
起き抜けに冷や汗を搾り取られた後に、今度は違うモノを搾り取られそうな、二日酔いの中年サラリーマンだ。
つづく