謎の電話! | RINの奇妙な恋愛 ~The strange tale of romance ~

RINの奇妙な恋愛 ~The strange tale of romance ~

こンな髪形してますが、アラフォーのおっさんです。
このブログでは、過去に体験した奇妙な恋愛話を綴ってます。
一部不快な表現も含まれておりますので、予めご了承ください。

『けっこう楽しかったネ、さっきの映画♡』

グラス

梨乃さんがひったくりに遭ってから2週間が過ぎた。
擦過傷は3~4日で治ったようだが、打撲の方は治りが遅くて内出血が消えるまで10日ほどかかったようだ。
今日は土曜日で、お互いに休日が合ったため午後から映画を見に行き、夜にはささやかながら梨乃さんの全快祝いをするコトにした。

梨乃さんも私も酒が入るとあまり食が進まなくなるため、1件目のレストランは小一時間で退出し、今は先日2人で行った梨乃さんの自宅近くにあるショット・バーに来ている。

『映画も楽しかったケド、ウチはさっきのリンくんにしてもらったコトがすっごく嬉しかったなぁ♡』

「え?な、なンのことでしょう?」

『ほら、さっきガレージでしてくれたでしょ♡』

――ああ、アレか・・・。照れるなぁw

店の近くのコインパーキングにはフェンスがあり、このお店に来るためにはフェンスを乗り越えるコトが一番の近道だが、梨乃さんは小柄なタメいつもフェンスが切れるところまで歩いていた。
私は背が高いので無意識にフェンスを跨いでしまったが、梨乃さんが恨めしそうに私を見ていた。
私はとっさにフェンスを跨いで元の位置に戻り、梨乃さんを“お姫様だっこ”しながらフェンスを跨いだ。
そのトキは、『怖い!降ろして!!』と言ってたクセに、ホントは嬉しかったようだ。

お姫様だっこ

「わ、私はチカラがあるくらいで、ほかに取り柄が無いモンで・・・」

『ううん。とっても頼もしくって、ウチ、感激したワ♡』

――格闘技やっててもあンまり得したコト無いケド、今日ばっかりは師匠に感謝やなぁ・・・

もう10年余りもやっている格闘技だが、「一銭の得にもならん」とか「エエ歳していつまで・・・」とまわりにはボロクソに言われていたが、今日は思わぬ幸運が舞い込んだようだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マスター

『マスター、ちょっと2人とも出かけるわネ。
また戻ってくるけど、とりあえずお勘定をお願い。』

――え?

もう12時を過ぎているので、今夜はそろそろお開きかと思っていたが、今からどこへ行くンだろう?

『リンくん、またクルマでしよっ♡』

「え、え、え~。ま、また、ですか?
いくら人通りが少ないからって、見られたらどうするンです!」

『そのスリルがいいンじゃない♡ さ、早く行こっ!』

――自宅が近くにあるンだから、そこへ行けば良いのに・・・

梨乃さんはこの前クルマでしたコトがよほど気に入ったらしく、先週も一度せがまれたばかりだった。
クルマの中でするとガラスが曇ってしまうし、それに停車中の車が小刻みに振動していると遠目からでもソレと分かってしまうはずだった。

クルマ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『件名:今日はありがと♡
すっごく楽しくって、とっても気持ちよかったわ♡』

――なンだかンだ言っても、梨乃さんはやっぱり魅力的やなぁ♡

運転代行を待つ間もう一度バーに戻り2人は飲み直したが、代行屋が到着したコトを機に私は店を出た。
梨乃さんは近くに住んでいるので、まだこの店で飲み直すと言っていた。

さっき代行屋のクルマの中で梨乃さんへ今日のお礼メールを送信したが、今、自宅に着いて寝ようと思ったら返信が来た。

最初は風俗嬢と付き合うってどうなるコトかと思っていたが、私はそのコトはあまり考えずに看護師さんと付き合っているつもりでいた。
実際、お互いに医療従事者なので、話題は病院のコトや患者のコトが多かった。
出会った場所がお店でなければ気付かなかったかもしれない。

――なンと言っても、人妻と付き合うよりは・・・・

そう、もうあンな辛くて苦しい恋はしたくない。
実りの無い、出口の見えない恋をするくらいなら、私が悋気を抑えさえすれば幸せな恋が出来るはずだった。

と、この時までは思っていた。

それから数時間後、午前4時ごろに突然携帯が鳴った。
着信は“梨乃さん”と表示している。
慌てて応答ボタンを押すと信じられないコトがおこった。


「こらぁ!われェ!!!
なに、ヒトの嫁はンに手ェ出してくれとンぢゃぁ!!!」



――え、え、え、えええええ?
だ、だ、誰? ナニ、ナニ?
梨乃さんって、人妻だったのぉ?


私の名はRIN。
恋の傷のカサブタが無理やり剥がされようとしている34歳。
お姫様を抱っこしたつもりが、ソレは魔女だったようで、天国から地獄に突き落とされそうな中年サラリーマンだ。


つづく