正力松太郎、白蓮、宮崎竜介、大杉栄、甘粕正彦 | 2.26事件を語ろう

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226おたく、フィギュアスケートおたくなので、手持ちの書類や証言を整理して公開しておきます。ここでは小説のような作り話ではなく、ノンフィクションのような事実だけを書いておこうと思います。

 いろいろ読み散らしてきましたので、少し整理させてください。これ長いです。すみません。


 これは柴門ふみがはじめて描く正力松太郎www
 正力松太郎といえば、日本の警察の父でもあり、プロ野球の父でもあり、原発の父でもあります。大正時代をふりかえると、特高刑事の一人にすぎませんでした。

美は乱調にあり/角川学芸出版

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 「美は乱調にあり」を柴門ふみが連載するというので、わりと読んでいました。
 人物の書き分けができていて、とても読みやすかったです。
 大和和紀の「あさぎゆめみし」にしても、顔が同じなので誰が誰だか、わからなくなってしまったりしたからです。

 ただ最後のほうは、いそぎすぎでしょう。
 ダブル不倫のあたりはとても細かく書き込んでいるのに。

 林真理子の「百蓮れんれん」もそうでした。不倫とかエッチな場面は筆力がフル稼働しているのに、2.26事件の翌年、近衛文麿の命で白蓮の夫、宮崎竜介が日中和平に動き、憲兵隊に逮捕されたくだりなんて、まったく関心がなさそう。
 女だから・・・なんて一言で片づけたくありません。

 2.26事件の頃にはもう宮崎竜介は結核に打ち勝ち、麹町で白蓮との落ち着いた暮らしをしていました。アジア主義の中野正剛(東条英機と対立して、後に逮捕され、自決に追い込まれる)率いる東方会に1939年まで所属しています。
 
 白蓮の娘が書いた本はとてもよかったです。
娘が語る白蓮/河出書房新社

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「美は乱調にあり」は漫画より、瀬戸内寂聴の原作のほうが面白かったようです。あ、でも、大杉栄が子供の頃、猫をたくさん殺して、猫がのりうつってしまったエピソードは漫画のほうが白色あったかもしれません。
 甘粕大尉について2冊ほど読んでみました。

甘粕大尉 (中公文庫 M 14-4)/中央公論新社

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甘粕大尉 ――増補改訂 (ちくま文庫)/筑摩書房

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 直接に手をくだしたのは部下だったようです。
 甘粕は彼らの直属の上司で、アナーキストの大杉栄、伊藤野枝、たまたま連れていた7歳の甥・橘宗一を強制連行して、柔道のしめ技で殺害して、3人ともこもにくるみ、麹町警察署の古井戸にほおりこんでしまったのです。
 甘粕が懲役10年の判決を受けた後、3年で出所し、陸軍の費用でフランス留学。満州国でリーダー的立場に立ったのは史実のとおりです。

 映画「ラストエンペラー」では坂本龍一が甘粕を演じています。実際に会ったことがある稲田悦子の話だと、あんな感じの方ではなかったようですが、外国人が作った映画なので、ああいう印象をもたれていたということなのでしょう。

7歳の子まで殺して、国のリーダーに建つ、というのは相当に日本のイメージを悪くしたようです。というのも、正力松太郎が回想録で振り返っているように、もともと関東大震災の15日後に起きた事件なので、行方不明で片付けてしまうはずだったのです。大杉栄にも伊藤野枝にも子供や家族や親類がいましたが、最初は警察に届けても相手にされませんでした。

ところが、たまたま甥の橘宗一がアメリカ国籍をもっていたのです。父親が貿易商だったので、宗一はシアトル生まれ。そこでアメリカ市民として、アメリカ大使館に訴えたところ、大使館が外務省に抗議し、外務省が内閣に訴え、はじめて事件が明るみになったのです。
 筆者の子供たちもアメリカ国籍児なので、このエピソードはとても心に深く突き刺さりました。


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