東京都知事選で石丸伸二さんが与えたインパクトはデカかった
先の東京都知事選は，前評判どおり，小池百合子さんが当選され，都知事再選という結果になりました。
振り返ってみますと，今回の都知事選では，一位であった小池さんよりも，まさかの二番手にくい込んだ石丸伸二さんにスポットが当てられることが多く，石丸さんの言動への注目度がとても高かったように思われます。
広島県安芸高田市の市町に就任していた頃から，議会等において，終始冷静な態度を保ちつつ，論理的な思考・話っぷりによって，詰め将棋の達人的な事の進め方で，対抗的なスタンスをとってくる議員やメディア関係者，識者を追い込んでいく人でした。
そして，そこでのやり取りの過程を，YouTube等で積極的に不特定多数の人達に見せていく…というクレバー？な手法をとってもいました。
動画サイトなんかは，同じ場面を何度でも繰り返して再生できるし，登場人物が吐いた「ここ一番」という場面での言葉が，テロップ化されて配信されることがよくあります。
そういった特質をもっているソーシャルメディア(以下「SM」と表記します)において，石丸さんが持っている「曖昧さやへんな飛躍がない理屈・言葉を滔々と積み重ねていって，冷徹に自己の論理を展開し，相手を説き伏せる」能力は，非常に際立って感じられます。単に，自論を振りかざして自分酔いしている風でもなく，ときに，柔らかい微笑みなんかを浮かべて，見た目の印象もわるくはありません(目下のところ…)。
話し言葉っていうのは，それを文字化してみると，通常は，文法的に破綻しているところがあったり，「あの～」とか「その～」，「え～っと」といった繋ぎ言葉的なものが入り込んでくることが，かなりあります。
議会等の出席者同士が激論を交わしているような状況では，当事者が口にした言葉がリアルタイムで文字化され，それがSM等で公衆に晒された場合，感情を抑制して理詰めで相手を言い負かして屈服させた人の方が「勝ち(正しい)」…という判定が，視聴者から下されがちです。
SM上で繰りひろげられている識者間の討論なんかを観ていると，「相手を論破した人=勝ち組の正論者」という捉え方を，一般の視聴者はしてしまうのであろうな～…と推察できてしまいます。
そのような作りになっているものが多い！
そして，SM等を視聴している人自身は，これといった持論や知見もないのに，画面上で議論に勝利した人と同化して，まるで自分が何者かに勝った or 何者かよりも優秀であるかのような錯覚を起こしてしまう…。溜飲を下げたような気になってしまう…。そういった現象が，SMの登場によって，顕著になってきているのではないでしょ～か。
自分自身では何も考えず，「論破ゲームに勝った人 = 正しい人」…と，ステレオタイプ的に認識する人が激増しているのが，現世の特徴の一つであると，アタクシは思ってます。
石丸伸二さんは，ご自身が保有・獲得している能力や資質，SMや旧来のメディア等の特性をとても巧みに活用して，東京都知事選に臨まれ，一定の成功をおさめられたのだとアタクシ…思っています。
「一定の」というのは，最大目標であった都知事当選には及ばなかったものの，「石丸伸二の存在を東京，並びに全国にひろく知ってもらい，強い印象を植え付けることができた」，「今後の諸活動(政治を含む)についての布石を打つことに成功した」…と石丸さんご自身が感得しているのではないか…ということです。
この石丸伸二というお方…，もしかしたら，もしかするかも…という人物なのかもしれませぬ。
