動き始めはしんどい。 でも,その一山を越えてしまうと,後は意外にスルスルと… ワタクシなりの「動いてナンボ」理論(別名:「ローギア」理論)
気分が滅入って,落ち込んでいる時っていうのは,心身ともに
ガチガチで,頑な(かたくな)な感じになりがちです。
同じところにじっとし続けて,ただただ,同じ感情・感覚が
頭の中をグルグルしている…といったイメージでしょうか。



でも,気持ちが塞ぐと,そのような状態に陥ってしまうのは,
生物として,ごく普通の反応を示しているということなのでしょう。
そして,そのイヤな渦から一刻も早く抜け出して,楽な気分に
なりたいと思うのも,これまた普通のことであります。

渦からの脱出は,なかなか簡単ではないようです。
ちょっと大きめの本屋さんに行くと,
こうすればイヤな気分とさよならできる!
…的な書籍が,「これでもか!」というほど並んでいます。
なかには,『一瞬で消える』といったセンセーショナルな
フレーズが,タイトルに入っている本もあったりします。

かくいうワタクシも,根っこの部分が,クリスタル細工のように
繊細でして(自分で言うか⁉)…,気持ちがどんよりして,
しんどくなることが,しばしばある人間です。
多感であった頃の自分は,ちょっとしたことでつまずくと,
そこから立ち直るのに,思いっきり時間がかかってました。
そして,「たかだか,これしきのことで…」と悩み続ける
己のちっちゃさに嫌気がさして,負のスパイラルを
自ら増長させてもいました。
あの時代…,三木清さんの著作なんかに救いを求めていたり
したっけ…。

でも,名著とされているものに,いくら目を通したとしても,
それだけではどうにもならん!…ということが,
後々,分かってきました。
…結果,自分として行き着いたのが,
「じっと立ち止まっていないで,とにかく最初の一歩を
踏み出すべし!」
…という考え方でございます。
どんなに小さなことでも構わないから,とりあえず動き出してみる
(行動を起こしてみる)。それがが大切だ…ということです。

鬱々としつつも,行動を起こしてみると,どうなるか…?
動き始めは,面倒くさい気分が強くて,「エイっ!」というパワーが
必要ですけれど,さらに行動を続けていくことで,
ほんの少しではありますが,「ココロ」が動きます。

たとえば,こんな感じ。
【仕事で失敗をやらかして,凹んでいるF氏(=私かも???)】
「昨日のプレゼン…,取引先の反応が全然よくなかったなぁ~。
その後のK部長の落胆ぶりも半端ではなかったよなぁ。
俺って駄目なのかなぁ~トホホ」と思い悩みながら,
マンションの自室内で,休日の午後を過ごしているF氏。
プレゼンでのしくじりが,F氏の心と身体を停滞させている。
そのまま,イヤな思いに浸って,室内で陽が沈むのを待とうかと
思ったF氏であったが,前々から予定していた住戸内の掃除に,
しぶしぶ,取り組んでみることにした。
几帳面なF氏は,掃除機のヘッドを部屋の隅々まで丁寧に当てて
いく。そして次の部屋へ…。
日常の空間が,徐々にスッキリしていく。
それに従って,F氏の内にあった重たいモノが,ほんの少しずつ
軽くなっていった。
当初の予定をきちんと成し遂げたことに,プチ満足感を覚えた
F氏は,窓の向こうの様子に今更ながらのように気付く。
「ちょっと外の空気,吸ってみようか」と思うようになり,
それを実行に移してみる。
すると,様々な感情・感覚が自然にわき上がってきた。
「近所の景色って,こんなにイケてたっけ⁉」
「頬に当たる風や,靴底から伝わってくる凸凹感が,やけに気持ち
エエな」
「へぇ,ここにこんなお店あったっけ⁉」
「日曜日でもせっせと働いている人,いるんやな」
「川面に反射する日の光が,やけに感動的やんかいさ」
単に,ぶらぶらしているだけだというのに…。

上の事例は,かなり教科書的ですね。
でも,行動の内容は,正直,何でもOK!というのが持論です。
「自己効力感を高めるためのセミナーに参加する」といった大仰な
ものである必要は全くなし。
朝のルーチンにしている「洗顔→歯磨き→髪のブラッシング」を
怠りなくやり遂げるというのでも,ワタクシ的には
全く構いません。

留意することといえば…,
じっとしている状態から行動を起こす出だしの部分で,それなりに
パワーが要るってことでしょうか。「エイっ!」という気合いが…。
でも,そこをちょっと踏ん張って,行動し続けていくと,
自動車等でいうところの「惰力」が付いてきて,そうなると,
その後が楽になっていきます。慣性が働くとでも申しましょうか…。
「惰力」がつくと,人間は,肉体だけではなく,
「ココロ」の部分も,同じ方向に進んでいきやすくなる。
行動を積み重ねていくと,身体の動きだけではなく,心のほうにも
小さな波紋が広がっていく…。
個人的には,上記のような印象を持っています。

「ローギア」っていうのは,速度はノロいけれど,発揮する
パワーは他のギアよりも格段に強いのです。
重たい車をスタートさせるには,それなりの力が必要になります。
それでも,一旦走り出したら,その後は,ヒジョ~に軽快になって
いきます。

立ち止まってあれこれと考え込まずに,まずは,アクションを
起こして,「初動の山」を乗り越えること。
それが肝心なのではないでしょうか。
かつて,三木清さんにすがっていた青年は,エエ歳のおっさんに
なって,いまはそう感じています。
その理屈…,
「ローギア理論」と勝手に呼んでいるワタクシでございます。



