1年前の夏の終わりから息子の目が赤くて、痒いのかゴシゴシしていました。私は息子を近所の眼科へ連れて行きました。技師の人が検査で目に風を当てると息子は『やめて!』と今にも泣きそうでした。
でも技師の人は『これは小さい子でも出来る検査だから!』といってやりました。
“アレルギー”だという事で目薬を貰いました。
1週間目薬をしても良くならず、再受診しました。
“角膜に傷がある”との事で目の中に塗る薬を貰いました。
そしてまた1週間が経ちました。息子の角膜が白くなって来ました。風が吹くと目が開けられません。光が当たると前を見ていられないのか顔を伏せる様になりました。
私は眼科を変えました。
技師の人に息子は『風をやらないで』と言いました。
技師の人は『解ったよ』と優しく言ってくれました。
そして医師の診察。
『これは相当痛いよ。角膜に傷が付くと光が凄く眩しいんですよ。まずは炎症を治しましょう。このままでは目が見えなくなってしまいますよ。根本的な原因は逆まつ毛です。手術した方が良いです。大学病院に紹介状書きますね。』
診断は『小児睫毛内反症(しょうにしょうもうないはんしょう)』でした。
とてもスピーディーに手続きをしてくれました。3週間後に大学病院の予約も入れてくれました。
3週間傷の治療をして大学病院に行きました。
1ヶ月後に手術が決まりました。
全身麻酔で目の下を切って縫う手術です。
大きな大学病院で検査回りです。朝から行って夕方まで検査や説明でクタクタでした。
そして入院の前日に私と息子とでPCR検査をしました。その日の夕方にPCR検査の結果と部屋が決まったとの電話がありました。
個室に希望を出したけれど前日にならないと部屋が解らないらしくドキドキしていました。結果、個室へ無事に入れました。
シャワーとトイレがついた広い個室です。
入院した日は天気も良くて息子は旅行に来ている気分でルンルンしていました。
コロナ禍なので病棟からは出られません。
私は付き添いだけれどご飯を買いに行く事が出来ないので、パンやらおにぎりやらを買って持って行きました。食べたい物が食べられない苦痛を味わいました(笑)
手術当日。全身麻酔なので私は息子に『ちゃんと起きて帰って来てね』と言いました。
息子は手術室へ看護師さんと行きました。手術室の前室まで私は一緒に行ったけれど、コロナ禍なので手術室の前で待つ事は出来ずに部屋へ戻されました。
2時間くらいの手術だけれど、私は一人でとても不安でした。夫は病棟にすら入れない為、この時間は電話で夫と話をしていました。話し相手が居ないと落ち着いていられませんでした。
代わってあげられるものならば代わってあげたい。
暫くして看護師さんが呼びに来てくれました。
麻酔を覚ます部屋へ案内してくれました。
大泣きしてパニックになっている息子が出て来ました。
『ママ〜〜!!!』と叫びながら。
手術が終わって麻酔が切れてきて意識が戻って来たら、知らない部屋で身体を拘束されているわけです。それはそれは怖ったと思います。
私は泣いている息子を抱き締めました。
その後は麻酔が完全に切れるまで気持が悪くて兎に角機嫌が悪くて。術後すぐは水分を摂る事も駄目なので大泣きして喉が乾いても何も飲めません。
『もー何にも出来ないの!!』と怒っていました。
その日は3月11日でした。
息子はテレビは消さない様にと私に言いました。
私はしんどいなら寝ていた方が良いと言うのですが、息子は『今日は黙祷しなくちゃいけない日だから!』と言いました。
術後2時間も経っていないのにしっかりと黙祷をしました。
その後もテレビで黙祷シーンが流れる度に身体を起こして座っていました。
時間が経って夜には麻酔も完全に抜けていつもの息子に戻りました。
その夜ぐっすり眠ってる息子を見て私はほっとしていました。
次の日はもう退院です。
目の下に糸が輪っかになっているのでそれを引っ張らない様に生活をしなければいけません。
小児の場合、抜糸の時にハサミが目の前に来ると怖くて暴れてしまうので、その輪っかになった部分を切って引っ張ると糸がスムーズに抜けるという訳でした。
暫く息子の顔は痛々しかったけれど、良く頑張りました。
この『小児睫毛内反症』。私も息子の手術が決まってネット検索をしました。でも体験を書いている方が殆どいなかったので今回我が家の体験を書かせて頂きました。
入院期間は2泊3日でした。
前に肺炎で市立の病院に入院した時の個室は1泊5千円だったのですが、大学病院の個室は2万円でした(笑)
この入院で我が家は息子の入院保険の掛け金を見直して上げました。
そして来月。再発した『小児睫毛内反症』の手術をまたする事になりました(泣)
2回目なので息子も余裕の表情をしていますが、私は兎に角無事に終わってくれる事を祈っています……。
