10代前半の死亡原因は自殺 | 田窪一世 独白ノート

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厚生労働省がまとめた2017年の人口動態統計で戦後初めて10歳から14歳の死因が自殺が1位であることがわかりました。2017年の10歳から14歳の自殺者は100人で、この年代の23%でした。尚、去年の自殺対策白書によると、15歳から39歳までは2012年からすでに死因の1位が自殺でした。しかも男性よりも女性の方が多いという統計が出ています。

 

他国での死因は平均して自殺と事故はほぼ同数ですが、日本では事故の3倍が自殺なのです。先進国での女性の自殺者週は3%から6%ですが、ロシアがやや高くて7%ですが、日本はなんと12%です。

 

他にもこんなデータがあります。2017年に小学校、中学校、高校でどれだけの生徒が自殺したのかを調べたところ、まずその理由として、進路問題が1位。ほぼ同数で2位は両親の不和。いじめは意外に少なくてその3分の1です。つまり進路問題と家庭内問題が子供たちを追いつめているのです。

 

日本の両親は他国に比べた場合、愛よりも損得で結婚しているケースが多く、たとえば2014年の青少年研究所のデータで「親をとても尊敬している」と答える高校生の数は、アメリカ71%、中国60%、日本37%となっています。「親に反抗してはいけない」と答える高校生の数は、アメリカ82%、中国84%、日本15%です。「家族との生活に満足している」という項目では、米中ともに50%を越えていますが、日本では39%でしかありません。つまり日本の両親は損得で結びついている人が多いので、当然のことながら子供に尊敬されておらず、大切にも思われていないのです。

 

次に子供たちの自意識のデータというものがあります。「私は価値のある人間だ」と答えた日本の子供はたった8%でした。アメリカは57%、中国42%、韓国20%。と日本の子供は非常に少ないのです。「自分を肯定的に評価できる」と答えた子供は、アメリカで41%、中国38%、日本6%。

 

なぜこんなことになってしまったのでしょうか。つまり日本の親は子供に対して負け組勝ち組コミュニケーションをします。「夏休みちゃんと勉強しないと負け組になっちゃうわよ」しかし社会の勝ち組というのはどの国でもわずか5%程度しか存在しないのです。損得価値観で子供に接すれば子供の自己肯定感が低くなるのは当然の結果なのです。これが日本の美しい家族の実体です。

 

なぜ日本は女性と子供の自殺率が世界1位なのか、まず第一に女性の社会進出がまったく進んでいいないことがあります。社会での自己肯定間を女性が持つことは困難です。では家庭で自己肯定間を持つことが出来るかというと、家庭は愛の関係が他の国と比べて圧倒的に乏しく、したがって家庭での自己肯定感も難しい。低い自己肯定感は必ず不安を呼ぶので、それを埋め合わせるために神経症的な振る舞いに及びます。つまり自分の自己実現を子供に押しつけてしまうのです。しかし、勝ち組になれる可能性は低く、結局、子供に託した自己実現は失敗するのです。親の誤った目標設定にされられた子供は自分を評価することが出来ず、結果、日本は女性や子供の自殺率が世界一高い国となったのです。

 

TBSラジオ「荒川強啓デイキャッチ」宮台真司氏談より