粋 | 田窪一世 独白ノート

田窪一世 独白ノート

ブログを再開することにしました。
舞台のこと、世の中のこと、心の中のこと、綴っていきます。

 

「粋(いき)」という言葉をちょっと勘違いしてました。

 

洗練されていて気がきいている、だけでなく、

繊細で人情のこまごまとしたことに通じている、

という意味もあるんだそうです。

 

落語家の春風亭柳昇師匠が行きつけだった居酒屋に、

弟子の昇太さんたちが顔を出すと、

店主が黙ってビールとおつまみを出してくれたんだそうです。

当時、若くてお金なんか無かった昇太さんたちは、

お店の好意にありがたく甘えていました。

 

柳昇師匠が亡くなって7年ほどが経ったある日、

昇太さんが久しぶりにその店を訪ねると、

相変わらずビールとおつまみがスッと出て来ます。

楽しく飲んで食べてお勘定を払おうとした昇太さん。

すると店のご主人が、

「うちの若いもんが来たら飲ませてやってくれと、

 柳昇師匠からいただいたお金がまだ残ってますから」

 

こういうのを「粋」な話というんですね。

ちなみに関西では「粋(すい)」と言います。

 

 

▶︎近景