昔、新劇の研究生だったころ、
演技についての質問は演出家にだけしてました。
俳優同士が自分の役や相手の役について、
質問したり相談したりすることは皆無でした。
と、言うよりむしろタブーだったのです。
演出家でもないのに人の役に口出しするなんて、
という考え方があったように思います。
演出家を差し置いて、
役者同士で話し合うことにも抵抗がありました。
つまり、まあ、いろんなものに縛られてたわけです。
僕はそれがずっと疑問でした。
だから、自分が劇団を作ったときに、
そのタブーを解禁しました。
ひとつの役をみんなで考える。
そのほうが楽しいし、より客観的になれます。
場合によっては自分が書いた戯曲でさえ、
劇団員たちのアドバイスが秀逸なときには、
躊躇なく書き換えるようにしました。
結果、実力以上の舞台が出来上がったように思います。
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