尾道商店街 | 田窪一世 独白ノート

田窪一世 独白ノート

ブログを再開することにしました。
舞台のこと、世の中のこと、心の中のこと、綴っていきます。


そんなこともあってか、

僕は不良たちに目をつけられていました。


ある日、学校が終わって、

尾道の商店街を歩いていたときのことです。

見知らぬ不良学生が近づいて来て僕に言いました。

「顔貸せや」

そう言うとそいつは、

商店街の薄暗くて狭い路地に入って行きました。


僕は恐怖でブルブル震えてはいましたが、

ついて行って誰もいないところで、

暴力をふるわれるくらいなら、

人通りの多い商店街を歩いていよう、

と咄嗟に判断して、

そのまま無視してどんどん商店街を歩いて行きました。

そいつが追いかけて来て、

また呼び止められるかとびくびくしていましたが、

けっきょく誰もあとを追っては来ませんでした。


そうか、僕も恐いけど、向うだって恐いんだ。


腕力も度胸もない人間の唯一の抵抗方法はこれだな。

歯向かっては行けないけど、相手の言う通りにもしない。

映画の主人公たちのようにカッコ良くは出来ないけど、

僕に出来る精一杯の行動でした。



▶︎近景