待ちに待った納車の日。
あの日の興奮は今でも忘れられません。
日本車の鍵は普通大きいのが1個だけですが、
ミニには三つの小さな鍵があります。
エンジンの鍵、ドアの鍵、トランクの鍵、
全部が別々なのです。
これもなんかとてもオシャレ。
車の鍵をジャラジャラ言わせながら、
その中のひとつを選んでドアを開ける。
このちょっとした手間が、
儀式のようでとても楽しいのです。
エンジン始動。
お腹に響いてくるようなエンジン音。
この車内いっぱいに広がる振動がなんとも心地よい。
そして、日本車に比べてそのハンドルの重いこと。
アクセルもブレーキもとても固くて踏むのが大変。
外見は可愛い車ですが、
女性が運転するには骨の折れる車です。
当然、マニュアル車なので、
いちいちシフトレバーを操作しなければなりません。
でも、この操作している感じが、
自分で車を動かしていることが実感出来て、
これまた楽しいのです。
運転を初めてすぐに、あいにくの雨が……。
ワイパーのスイッチを入れてみてびっくり。
ワイパーが動かないのです!
ええっ、新車なのに~っ!
たちまち雨で前方が見えなくなってきたので、
あわてて路上に駐車、ショップに電話しました。
当時、まだ携帯電話などなかったので近くの公衆電話から。
店員さんに現状を訴えると、
「ああ、ボンネットを開けると、
ヒューズボックスがあるので交換してください」
と平然とした口調で言われてしまいました。
そうか、ミニ乗りはこんなことで驚いたり、
うろたえたりしちゃいけないのだ。
雨に打たれながらもなんとかヒューズを交換。
するとワイパーは、
何事もなかったかのように快調に動き始めました。
恐るべしミニ。