子供の頃に食べたクリスマス・ケーキ、
僕の時代は、
バタークリームのデコレーション・ケーキでした。
クリスマス・イブには、
いつも親戚が合同で賑やかなパーティを。
大きなデコレーション・ケーキは1年に1度のご馳走でした。
でも、当時はどこも大家族。
僕に回ってくるのは、たった一切れのケーキでした。
(ああ、もっと食べたいなあ)
そう思い残して大人になりました。
クリスマスケーキはその後、
アイスクリームから生クリームに。
でも、僕に取って生クリームは、
クリスマスケーキじゃないんだよなあ。
数年前、知人が教えてくれました。
「九段下にあるゴンドラという洋菓子屋さんには、
今でもバタークリームの、
クリスマス・ケーキがあるみたいだよ」
「ええっ、ほんと!」
すぐに電話して問い合わせました。
お店のご主人にお話を伺うと、
かつて粗悪なバターを使用したケーキが出回ったことで、
バタークリームのデコレーションは、
衰退してしまったとのこと。
「うちは今でも上等のバターを使用してますよ」
それから毎年、
一番大きな8号のバターケーキをお店に予約して、
当日は車を飛ばして買いに行きます。
そして、クリスマス・イブから、
大晦日にかけての一週間で、
ひとりでまるごと食べるのが毎年の年中行事になりました。
し・あ・わ・せ