上京 | 田窪一世 独白ノート

田窪一世 独白ノート

ブログを再開することにしました。
舞台のこと、世の中のこと、心の中のこと、綴っていきます。


中学3年生の時に俳優を志した僕でしたが、

そのことはずっと親には黙っていました。

高校3年生になったとき、一大決心して親の前に。

緊張した面持ちで親の前に正座した僕は言いました。


「高校を卒業したら役者を目指して上京したいんだ」

「あらそう」

「反対されても決心は変わらないんだ」

「いいよ」

「へ?」

「あんたはいつかそういうことを、

 言い出すだろうと思ってたから」

「う、うん」

「あとで、あのとき親に反対されなかったらって、

 そんなふうに恨まれたくないからね」

「じゃあ、プロの役者になるまでは田舎に帰って来ないから」

「帰ってくればいいじゃない」

「へ?」

「そんなに深刻に考えなくてもいいんじゃない?』

「あ、うん」


なんだか拍子抜けでした。

でも逆に、これで途中で挫折出来なくなったなと思いました。

上京する前の晩、

布団の中で将来のことを想像して僕の足は竦みました。



▶︎みりん