中学3年生の時に俳優を志した僕でしたが、
そのことはずっと親には黙っていました。
高校3年生になったとき、一大決心して親の前に。
緊張した面持ちで親の前に正座した僕は言いました。
「高校を卒業したら役者を目指して上京したいんだ」
「あらそう」
「反対されても決心は変わらないんだ」
「いいよ」
「へ?」
「あんたはいつかそういうことを、
言い出すだろうと思ってたから」
「う、うん」
「あとで、あのとき親に反対されなかったらって、
そんなふうに恨まれたくないからね」
「じゃあ、プロの役者になるまでは田舎に帰って来ないから」
「帰ってくればいいじゃない」
「へ?」
「そんなに深刻に考えなくてもいいんじゃない?』
「あ、うん」
なんだか拍子抜けでした。
でも逆に、これで途中で挫折出来なくなったなと思いました。
上京する前の晩、
布団の中で将来のことを想像して僕の足は竦みました。