人間が死を受け入れるときの、
心理状態を唱えた著名な精神科医です。
拒否、怒り、駆け引き、絶望、受容、という、
死の受容のプロセスを、
耳にしたことがある人は多いと思います。
①否認/自分が死ぬということは嘘ではないのかと疑う段階。
②怒り/なぜ自分が死ななければならないのかという、
周囲に向ける段階。
③取引/なんとか死なずにすむよう取引を試みる段階。
④絶望/何も出来なくなる段階。
⑤受容/最終的に自分が死ぬ事を受け入れる段階。
演技を考えるとき、自分の人生を考えるとき、
折に触れてたびたびこのことを思い出します。
俳人の正岡子規は自分が結核にかかっていることがわかり、
死期を悟ったのちに「子規」という雅号にしたんだそうです。
「子規」というのはホトトギスという鳥の別名で、
結核を病み喀血した自分を、
血を吐くまで鳴くと言われる、
ホトトギスに喩えたと言われています。
明治の人のこの覚悟、この胆力、とても真似出来ません。
僕自身は、果たして自分の死を、
受容することが出来るのだろうか。
そんなことを時々考えます。