仮名手本忠臣蔵 | 田窪一世 独白ノート

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舞台のこと、世の中のこと、心の中のこと、綴っていきます。


「忠臣蔵」は江戸時代に、

赤穂浪士の吉良邸討ち入りという、

実際に起こった事件をもとに作られた、

歌舞伎の人気狂言のひとつです。

現代でもテレビドラマや映画で、

繰り返し上映、放送され続けています。


「仮名手本忠臣蔵」が人形浄瑠璃として初演されたのは、

事件から46年後のことですが、

その圧倒的な人気に、

翌年、歌舞伎になり江戸三座で競演されました。


現実の事件をモデルにしていたため、

幕府のへの政策批判、

と受けとられることをカモフラージュするため、

時代設定を元禄時代から室町時代に移し、

大石内蔵助を大星由良助とするなど配慮されました。


しかし、暗に幕府批判を匂わせるよう仕掛けたのが、

「仮名手本」という題名です。

仮名手本とは「いろはにほへと」のことです。


いろはにほへと

ちりぬるをわか

よたれそつねな

らむうゐのおく

やまけふこえて

あさきゆめみし

ゑひもせす


最後の文字を並べて読むと「とかなくてしす」

つまり「咎無くて死す」となります。

赤穂浪士の切腹は無実の罪であるという主張が、

こんなところに隠されているのです。



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