国会答弁 | 田窪一世 独白ノート

田窪一世 独白ノート

ブログを再開することにしました。
舞台のこと、世の中のこと、心の中のこと、綴っていきます。


先日、ニューヨークの国連本部で、

安倍首相が会見を行いました。


ところが、海外の記者に、

「シリア難民を受け入れる可能性は?」

と聞かれた首相は、

「人口問題として申し上げればですね、

いわば我々は移民を受け入れるよりも前に、

やるべきことがある。

それは女性の活躍であり、あるいは高齢者の活躍であり、

そして出生率を上げていくには、

まだまだ打つべき手があるということでもあります」

と、まったくトンチンカンな返事をしてしまいました。


これに対して世界のマスコミは、

「日本は難民支援(金)の用意はあるが受け入れはしない」

などと批判的に報じました。


なぜ、こんな答弁になってしまったのか、

実は、あの質問はもともとシナリオにはなかった、

記者のいきなりな質問だったのです。

世界中でシナリオ通りの答弁をするのは日本だけ。

あの会見もあらかじめ質問と答えが用意されていたのですが、

海外の記者にはそんなことは通じません。

安倍首相はまんまと醜態を演じてしまったのです。


国会の本会議での原稿の棒読みが始まったのはいつか。

それは太平洋戦争中のころ。

それ以前の国会は論戦の場であり、

原稿の棒読みなどはなかったそうです。


ところが戦争が始まると、

軍部による国会演説への干渉が強まり、

最後には軍部が演説内容の、

事前検問まで行うようになりました。

政治家は認められた原稿を、

そのまま読む事を求められたのです。


ここから原稿の棒読みが習慣化したのです。

そしてこの習慣は戦後も引き継がれ、

昭和26年には原稿が読みやすいようにと、

原稿を置く見台まで登場しました。


昔、自伝を出版したあるアイドルが記者に本の内容を聞かれ、

「まだ読んでないからよくわかんない」

と答えたことがありましたが、

彼女と国会議員のいったいどこが違うというのでしょうか。


国会答弁はシナリオ無しで自由に質疑応答する。

そうすればNHKの国会中継の視聴率は大いに上がるでしょう。

それより何より国会議員の質が、

間違いなく向上するに違いありません。



▶︎多摩川