沖縄人に対する日本人の、
ポジショナリティ(政治的権力的位置)を、
わかりやすく示すために、
野村氏(野村浩也、1964年美里村(現沖縄市)生まれ、
広島専修大学教授)は次のような印象的な一節を記している。
日本人「沖縄だーい好き!」
沖縄人「そんなに沖縄が好きだったら、
基地ぐらい持って帰れるだろう」
日本人「……(権力的沈黙)」
日本人「沖縄と連帯しよう!」
沖縄人「だったら基地を、
日本に持って帰るのが一番の連帯ですね」
日本人「……(権力的沈黙)」
日本人「(独白)沈黙こそわが利益。
聴かないことこそわが利益。応答しないことこそわが利益。
植民地とはそういうもの。
原住民の声なんて聴く必要はない!」
日本人は自らの植民地主義を、
暴露されるような問いを向けられたとき、
沈黙するだけで現状を維持し、
自分たちの利益を守ることが出来る、と野村氏は言う。
それが植民者の被植民者に対する「権力的沈黙」である。
この場合の「沈黙」は、無視であったり、
逃避であったり、はぐらかしであったり、居直りであったり、
種々の形態を取ることが出来る「応答の拒絶」である。
これと似た振る舞いを、知念ウシ氏は、
「シランフーナー(知らんふり)の暴力と呼んでいる。