ランチの女王 | 田窪一世 独白ノート

田窪一世 独白ノート

ブログを再開することにしました。
舞台のこと、世の中のこと、心の中のこと、綴っていきます。


以前、フジテレビの「ランチの女王」というドラマに、

出演させていただいたことがあります。

麦田なつみという女の子がひょんなことから、

キッチンマカロニという男ばかりの家族で経営している、

レストランで働くようになります。

彼女の可愛さ懸命さに兄弟3人はたちまち恋をします。

でも、もともと不良だった彼女のところへ昔の男が現れ、

みんなに迷惑をかけると感じた彼女は、

店を出て行く決心をします。


僕の役は川端守という通いのコックで、

最終回、出て行くことに決めた彼女に向って、

「なっちゃんには、ずっとここにいて欲しいな」

と声をかけます。

その台詞をもらったときに、

僕は「理由」を考えることにしました。

なぜ川端さんはなっちゃんを引き止めたんだろう。

ただ可愛いからとか、

好感を持っていたからというだけではないはずなんです。

色々考えているうちに、

僕なりのサイドストーリーが生まれました。


川端さんは、たぶん中学を卒業して、

すぐに料理人の道へ入ったんだろうと思います。

そして、何軒目かの就職先がキッチンマカロニでした。

店のご主人、鍋島権造さんに厳しく仕込まれる中、

店の奥さんにはやさしくしてもらったんだと思います。

奥さんは子供4人を育てながら、

懸命にお店のお手伝いをしていました。

川端さんはとても綺麗で可愛らしい奥さんに、

あこがれていたんでしょうね。

「俺もいつか、こんな綺麗な嫁さんを貰って自分の店を持とう」


なっちゃんはきっと、

亡くなったみんなのお母さんにそっくりなんだと思うんです。

顔も姿も、心根も。

だから、兄弟みんなが彼女に恋してしまうんです。

これで「理由」が出来ました。

別にだからどうだということはありません。

ただ自分でそう決めていただけです。

でも、そのおかげで僕自身は安心出来ました。

川端さんの気持ちにちょっと近づけた気がしました。


でも、悔いは残ってます。

もっとなっちゃんの心を動かすことは出来なかったかなあ、と。


▶︎六本木