昔見たアメリカ映画「クレイマー・クレイマー」
ある夫婦が離婚し、
そのひとり息子を両親が取り合うという内容ですが、
夫を演じたのがダスティ・ホフマン。
妻がメリル・ストリープでした。
内容のほとんどが父親と息子の生活を描いたもので、
メリル・ストリープは少ししか登場してきません。
夫は妻とヨリを戻そうと努力するのですが、
彼女は頑として受け入れません。
物語の後半には新しい恋人まで作っていて、
離婚は決定的なものとなります。
数年前に見たアクターズ・スタジオ・インタビューに、
メリル・ストリープがゲスト出演していました。
そして、あの撮影のときに、
監督にも共演者にも話していないことがあると断って、
次のことを言いました。
「彼女は一度も夫を愛したことがなかった」
演じるときにそう自分で決めていたというのです。
この言葉はショックでした。
人間の喜怒哀楽を表現するのが俳優の仕事です。
僕たちは考えます。
どう怒るか、どう泣くか、どう喜ぶのかを。
でも大切なのは、なぜ怒るのか、なぜ泣くのか、
なぜ喜ぶのかだと思うのです。
その人物の怒りたい理由を、
泣きたい理由を探ってあげること。
心の奥の闇に触れてあげることが、
大事なんだと気づかされました。
▶︎綱島