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YAWARA!

浦沢直樹作品はほぼ全て持っている。
いわゆるYAWARAとHAPPYのコメディ路線とパイナップルアーミーやマスターキートンの骨太路線がある。

昔はマスターキートンの博学なところが好きだった。
BS漫画夜話でYAWARAとHAPPYのコメディ路線が軽く見られていたのも記憶している。
それでもYAWARAは純粋によくできた作品だと思う。


天才型の猪熊柔がコメディの中で成長していく。
天才型からはじめて飽きさせない手腕。

主人公は脱スポ根で、周りがスポ根キャラの共存が裏テーマなのだろう。
この前提に気づいて読むのと、気づかずに読むのとでは、
YAWARAという漫画に対する印象・評価は正反対になる。


なんといってもまとまりがいい。

1話目に掲げたテーマ「国民栄誉賞をとる」「観客の声がきこえる」を最後に回収してまとめ上げている。
 「なにが国民栄誉賞よ‼なにがオリンピックの金メダルよ‼」
 「1992年っていったら、わたしは22歳よ‼それまでのあたしの青春はどうなるのよ‼」
柔といえば国民栄誉賞にオリンピックだが、1話目の初めのほうにすでにセリフがある。

最後の29巻ではもう少し続きが見たいが、首尾一貫な終わり方が完成度を高めている。
 

そして、時間の経過を上手に伝えている。
書き手の絵の変化と主人公の外観・服装の成長が合っていて、高校生~短大生~社会人の変化が自然と進む。

単行本の10~20巻あたりの柔の造形が安定していて好印象だ。
 

時間の経過は、主人公の内面の性格にも及ぶ。

お転婆な性格から徐々に引っ込み思案な性格への変化は偶然にそうなったのか、狙ってやったのか。

絵の変化は無意識的なものだろうが、性格の変化はどうなのだろう。

狙ってやっていたとしたら実に繊細な仕事だと思う。

最後まで読んで1巻目を読むと全く別人格のように感じられるほどだ。

でも、読んでいるときは気にならない。現実の成長もこういうものだろう。

 

今になって思う一番の関心は猪熊柔の相手として、松田耕作に設定したのはいつだったのか、ということ。

柔と松田では年が離れているので、当初は風祭や錦森の可能性はあったように思う。

やはり初期設定で固めてスタートしていたのか、進めながら変える予定もあったのか。

その場合は新聞記者の目線から柔の恋愛も含めてスクープ的なネタを描くつもりだったのか。

14万5千字インタビューの「浦沢直樹 描いて描いて描きまくる」を再読したくなった。でも、この点についてはよくわからない。
結果として、松田と柔の関係を描くことで、最後まで読み手の興味を引っ張り続ける傑作になっていると思う。

 

コメディ路線であっても、主人公とそれを取り巻く脇のキャラクターをひっくるめた群像劇。

大人になって読むと、本阿弥さやかが人間臭くて魅力的だ。

努力を重ねて真正面から挑む真摯な姿は、中高生のときは高慢な言動に埋もれてしまっていた。

小室哲哉 隠れた名曲

ミリオンヒットだからといって名曲ではない。

その逆も然り。タイミングと運があるだけ。

 

01.Mystery of Sound /円谷憂子

02.恋をするたびに傷つきやすく /翆玲

03.#RUN /小室哲哉 feat.神田沙也加&tofubeats

04.Be The One /PANDORA feat.Beverly

05.GET INTO YOU SUDDENLY /BALANCe

06.discovery /宇都宮隆

07.Music Makes Me Wonder /DJTK featuring TKCOM

08.幸せの表現 /GABALL

09.True voice /坂本美雨

10.花束 /北乃きい

11.永遠の海 /星野真理

12.DEAR MY CLOSE FRIEND /Kiss Destination

13.Empty Lies /MUSEUM

 

 

『宇都宮隆 隠れた名曲』TMの3人の絶妙なバランスが好きだけれども、ソロもたまに聴く。小室さんのglobeなんかもTMを見ている立場からするとソロ活動のひとつという感覚。ウツのボーカ…リンクameblo.jp

海がきこえる 時系列

単行本「海がきこえる」「海がきこえるⅡ」をもとに、主人公(杜崎拓、武藤里伽子)の足跡をまとめてみる。



アニメージュ版のストーリーはパラレルワールドのため省く。

「海がきこえる」は高等部2年の8月から大学1年の8月半ばまでの2年間「海がきこえるⅡ」は大学1年の8月半ばから12月下旬までの4ヶ月間のお話だとわかる。

意外にも続編の時間が圧倒的に短い。

大きな出来事が起こらず、淡々と進むと言われるが、全体的に描かれている期間が短く、主人公同士の接点も少ないため、仕方ないとも言える。

ハワイの修学旅行はアニメの影響で夏のイメージがあったのに、実は1月の出来事であったり、気づくことが多かった。

 

拓のほうは誰とでも人づきあいがよく、里伽子ともずっと同じ調子だが、意地っ張りな里伽子のほうは拓にしか見せない喜怒哀楽の顔があり、少しずつ拓に頼るように変化している。

どこから付き合いがはじまるとか、そうしたハッキリした区切りが明確にあるわけでなく、いつの間にか付かず離れずの関係になっていく過程がいい。


「海がきこえる」・・・青字

「海がきこえるⅡ」・・・赤字

中等部3年
中等部の修学旅行が中止になる

高等部2年
8月
拓が帯屋町の中華料理屋でバイトに励む
拓が松野から電話をもらい、職員室に来ていた里伽子に会う


9月
里伽子が高知の私立高校に編入する
里伽子が体育のテニスや試験の成績で目立つ


10月

11月

12月

1月
(正月すぎ)

松野と里伽子がバイト中の拓を見かける

(1月末)
ハワイの修学旅行で拓が里伽子にお金を貸す

2月

3月

高等部3年
4月

拓と里伽子が同じクラスになる
里伽子と小浜が仲よくなる


(4/29)
拓が小浜から電話をもらい空港に行く
拓が里伽子について東京へ行く
成城のマンションで里伽子の父親に会う
新宿のホテルに泊まる

(4/30)
里伽子が岡田に会う

拓が東京の大学に進学しようと決める

5月
(5/1)
拓と里伽子が高知に戻る
(GW最終日)
拓と里伽子が母親同伴で学校に呼び出しを食らう

母親同士は仲がよくなる
(5月半ば)
GWの東京旅行のことが噂になる
里伽子が松野に東京旅行のことを話し、松野を振る

6月

7月
1学期の期末後に松野が拓の家に来て、里伽子に振られた話をする
翌日拓が里伽子を呼び出し、廊下でお互いに平手打ちする


8月

9月
拓と里伽子の絶交状態が続く

10月

11月
(11/4)
文化祭の最終日に里伽子が女子につるし上げにあう
拓が里伽子に平手打ちされ、松野に殴られる

以降、松野とも絶交状態になる


12月

1月

2月

3月
拓が東京の私大(日大芸術学部がモデル)に合格し、上京する
里伽子が東京の女子大に合格し、上京する
上京2日後、拓が駅前の書店で田坂に会う

その翌日、山尾が石神井の拓のアパートに遊びに来る


大学1年
4月
大学がはじまる

5月

6月
(6月初め)

津村が階段教室で拓に話しかける
その日、拓と里伽子が四谷のビストロで再会する

(その週の土曜日)
拓が田坂と津村を見かけて、大沢宅近くに行く
拓が津村から里伽子の連絡先を知る


7月
(7月初め)
拓が豪徳寺の里伽子のアパートを訪ね、玄関先で美香とも会う
(このとき、拓が里伽子に好きだったと言う)

(7月末)
拓が里伽子を誘って東京ドームへ行く
(このとき、里伽子が拓を好きかもしれないと言う)


8月
同窓会2日前に里伽子が高知に帰省する
同窓会1日前に里伽子が松野と再会し、針木や桂浜に行く
同窓会当日に拓が高知に帰省し、松野と再会する
二次会のカラオケボックスで拓と里伽子が会う
県庁前で拓と里伽子が高知城を眺める


帰省中、里伽子が両親の離婚のことで母親と話をする
拓と松野と里伽子が中村にドライブ旅行に行く
里伽子がよさこい祭りの初日に帰京する
よさこい祭りのあと、拓と松野が室戸まで泊りがけで泳ぎにいく

(8/17)

拓が深夜バスで帰京する
(8/18)

拓の家に津村が寝ているのを発見する

9月
夏休み後、拓と里伽子が泉岳寺に行く

その数日後、拓が田坂の家に行く
その日の深夜1時、里伽子が拓に電話する(呼び方が拓に変わる)

前期試験中、里伽子が拓に電話する
前期試験最終日の翌日、拓が染谷涼子とバーゲンに行く


10月

前期試験の翌週金曜日、美香と里伽子の食事に拓が同席する(美香は里伽子へ妊娠の報告をするつもりだった)
津村と大沢の食事中に里伽子が話しかけ、帰り道に拓と里伽子はケンカ別れになる

食事の1週間後、津村が拓に階段教室で話しかけ、里伽子への不満を伝える

その同じ日、拓が水沼から芝居のチケットを買う
チケット購入から2週間後、拓が里伽子と連絡が取れる
里伽子は涙ぐんでいる気配で、そのうち連絡すると伝える(食事後、里伽子は父親から美香の妊娠を聞かされていた)
その4日後、拓が東北沢(4つ先が豪徳寺)に芝居を見に行く


11月
(11月初め)

学祭の最終日、津村が拓を連れて北青山の個展へ行き、大沢と会う

(11月末)
里伽子が深夜2時過ぎに大蔵病院から拓に電話する
拓が田坂と北原に病院まで連れて行ってもらう
里伽子が拓の家に泊まる


12月

(病院の3日後)
拓と里伽子と緒方和見の3人で成城のマンションを掃除する
その同じ日、田坂が拓の家に鍋を食べにくる
翌日津村が拓に階段教室で話しかける


里伽子は2週間ほどマンションと病院を往復する日々を過ごす
里伽子がクリスマスは銀座で会おうと拓を誘う


(12/24)
銀座の喫茶店で拓が里伽子にプレゼントを渡す
里伽子が父親と美香の3人で会食する
拓が1時間半待った後、拓と里伽子は銀座の街中を歩きだす(END)



海がきこえる

ジブリ作品「海がきこえる」は1993年にテレビ放送された。



当時高校生だったが、たまたまその番組を見たのが始まりだった。何の気なしに見ていたと思う。
なぜタイミングよく見られたのだろうか。宣伝でもされていたのだろうか。

視聴率も夕方だったにもかかわらず、17%と高かったらしいが、自分もその視聴者の一人だった。

同じ高校生の話なのに精神的にずいぶん大人に見えたこと、背景が実写のようで映像が非常に綺麗だったこと、高校生にありがちな内輪な気分が当時の自分の境遇に近く感じたこと。こうした印象が強烈だった。
作者の氷室冴子氏のことは何も知らなかったし、ジブリ作品だったこともその時は知識になかったと思う。
とにかく高校生からみて大人びたやり取りが洗練されているように感じたのだと思う。


その後、書店をいくつかはしごして、関連本を探し回った記憶がある。
結果、原作の小説版「海がきこえる」、「イラスト集」、アニメの「フィルムBOOK」を購入。1995年には続編の小説版「海がきこえるⅡ」も発売に合わせて読んだ。

自分でも驚くことにアニメサントラのCDまで持っていて、ファーストインプレッションという曲がいちばんお気に入りだ。全曲ハズレなしのインストアルバムだった。
2003年になってアニメのDVDが販売されて、ようやくテレビ放送以降再度視聴できた。

それまではテレビの記憶だけだったはずで、仕方なしに「フィルムBOOK」で記憶を補う状態だった。


アニメの「海がきこえる」を見るときは集中して見ないと損をする。

2011年にテレビ再放映されたときに久しぶりに片手間で見てたら全く感動すらしなかった。

展開が早いので、ついていけなくなるのが原因だ。もしかしたら自分の年齢のせいもあったのかもしれない。

あと、いつだったかドラマ版放映時は非常に楽しみにして見たが、期待外れだった。人物像の変わり具合に面食らってしまってあまりよい印象を持っていない。

そう考えるとアニメ版は相当原作に漂う空気感を大切に扱っているし、作り手の感じ方が鋭いのにちがいない。


同時期の「耳をすませば」は、若手で作成した「海がきこえる」の対抗として後につくられたらしい。

しかし、「耳をすませば」は感情がストレートすぎて幼稚にみえる。

「海がきこえる」のほうが純文学的でよっぽどいい。

すべての感情を書き切らないところが本来の淡くて掴みどころのないリアルな感情を閉じ込めているように思う。

映像でわからない感情があるからこそ、小説版への導入になっている。

そして、深みにはまる感覚で、関連本を買い漁ってしまった。


原作の小説版「海がきこえる」も気に入っている。

一方で続編の小説版「海がきこえるⅡ」はそこまで好きになれなかった。
最近久しぶりに本を引っ張り出してきて再読してみると、すべては続編のために1冊目があるように感じるほど続編のほうが主人公たちの周辺の家族や不倫がらみの三角関係を丁寧に描いていて、かつ主人公たちの関係性も少しずつ確かに進んでいることがわかって魅力的だった。

圧巻は主人公2人と義理の母で食事するときの会話。一言一言に思惑があり、鋭い刃のようだ。

そうした心がぶつかるさまがある意味続編の見どころ(読みどころ)だった。

 

本の読後感は読む側の重ねた年月に左右されるものだと思うが、今回の再読はその好例のように感じた。

つまりは、不倫やら離婚やらに振り回される続編は当時高校生の自分には早すぎたのだろう。

当時は少し背伸びするくらいの1冊目がちょうど心地よかったのかもしれない。

特に思春期から大人の狭間を描く小説は初読の年齢が評価の決め手になるような気がする。

良いタイミングで良い作品に出逢えたと思っている。



TM NETWORK [QUIT 30] を愉しむ

待ちに待ったTM NETWORKの最新アルバムが先月末に発売された。
QUIT 30、記号的なタイトルがTM的だと思う。



2枚組みのアルバムを収録順どおりに聞くのが一番よいだろうし
小室さんも曲順はかなり考えたとニコニコ動画でも発言していた。

 


でも、と思う。


壮大なコンセプトがもったいない気もするのだ。
恐れ多いのを承知でちょっと曲順をいじってみる。

 

[QUIT 30] Disc1
01.MISSION PART1
02.[QUIT30]Birth
03.[QUIT30]The Beginning Of The End
04.[QUIT30]Mist
05.[CAROL2014]A Day In The Girl's Life
06.[CAROL2014]Carol (Carol's theme I)
07.[CAROL2014]In The Forest
08.[CAROL2014]Carol (Carol's theme II)

09.[QUIT30]Glow
10.[QUIT30]Loop Of The Life
11.[QUIT30]Entrance Of The Earth
12.[QUIT30]The Beginning Of The End II
13.[QUIT30]The Beginning Of The End III

14.Think of Earth
15.EPILOGUE 1991~月とピアノ~

 

 

[QUIT 30] Disc2
01.Alive
02.Mission to GO
03.LOUD
04.君がいてよかった
05.STORY
06.ある日ある時いつか何処かで
07.I am
08.Always be there
09.If you can
10.Green days 2013

 

 

・収録漏れのMISSION PART1とGreen days 2013を追加
・Think of EarthとEPILOGUE 1991は、QUIT30のストーリーの締めとして収まりがよいように思うので追加

 

 

できることなら、Think of EarthもCarolのように新録であれば、と思わずにはいられない。

 


MISSION PART1という曲名がずっと気になっているけれど、PART2はあるのだろうか。
もしかしてMission to GOがそれにあたるとか・・・。


いろいろ思いを巡らしながら、
ipodでいろいろ曲順を変えて愉しむ。


2014年になった今もTMを堪能できるなんてシアワセだと思う。