オルガンとGが一体となって進行させる楽曲は正にイタリア版U・ヒープ /R・ディンファンツィア | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

RICORDI D`INFANZIA(リコルディ・ディンファンツィア)はブログ・アップ時にはバンド「IO UOMO」として紹介しましたが、ブログ読者「ぺっぺけん」さんによる確かなコメント情報で、これはアルバム・タイトルである事が判りました。よって遅ればせながら修正しましたが、改めてご報告しておきたいと思います。

 

この発音し辛いイタリアで結成されたバンドは、Vo、G、Bs、Kb、Dsの五人から成るバンドで、アルバムは73年にリリースされたものを唯一としている。自身は90年代の初発CDを入手したのでリマスターまでは施されていないが、近年リリースされた国内盤CDはリマスターされている筈。

その内容はイタリアン・ロックらしく美意識に富んだコンセプト・アルバムで、その声質に魅力までは感じられ難いものの、パワフル・ヴォイスで迫る熱唱型Voの歌唱力が光るものとなっている。もちろんカンツォーネを基本としているのか、若干クラシカルとも映る歌メロはVoにおける歌唱スタイルこそ違え、若干屈折した感のするイタリア版U・ヒープといった処。サウンドを牽引するのはアルバム全編に渡って常に鳴り響くオルガンで、ヘビィ・リフからオルガン・ソロに至るまで、クラシカル・テイスト満載のフレーズで目覚しい活躍振り。Gも歪まくった音でそれに対抗するが、特にオルガンを背後に従えながら突然炸裂するラウド且つヘビィなG音が刺激的で堪らない。

長尺曲はないものの組曲形式のコンセプト・アルバムだけあって、曲展開が目まぐるしく移り変わるのも御多分に漏れずイタリアン・プログレの特長と言えるが、ヒープ・サウンドを意識したかのようにも映る曲メロは、Gの奏でるメロディアスなフレーズと並んで切ないほど美しい。収録分数はトータル32分前後と味気ないものの、捨て曲もなく緊張感に富んだ演奏が最初から最後まで聴けるアルバムである事だけは確か。ただバスドラの音が特に強調されたドカドカ鳴り響くDsサウンドが難点で、ハードロック然としたタイト且つパワフルなドラミングだけに実に勿体無いばかり。

 

         73年アルバム

 

このアルバムは当時におけるアナログ盤は別にして、CDに限れば今でも容易く入手出来ると思えますが、自身が購入した初発CDは流石に音の分離は悪く、特に低音が強調(ブーミー)された解像度の低いサウンドは、自己リマスターを施しているが故に楽しめるといった処です。後における再発リマスターCDでは改善されているのかもしれませんが、もし購入するのであれば中古CDは避けて再発CDをお勧めします。購入に関してのネガティヴ材料が多少あったとしても、このアルバムはプログレハード・ファンの方だけを問わず、ハードロック・ファンの方々の期待にも間違いなく応えてくれると眼に映った事だけは確かで、アルバム評価としては自ずと是非お薦め出来る一枚といった事になると思います。