ジャズ・テイストに富んだGが奏でるサウンドはソリッド且つヘビィなプログレ・ハード /フラッシュ | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

FLASHはイエスで二枚のアルバムにギタリストとして参加した後、脱退してバンドを立ち上げたピーター・バンクスを中心に、Voにコリン・カーター、Bsにレイ・ベネット、Dsにマイク・ハフ、Kbに1stアルバムのみに参加したトニーケイを迎えて、イギリスで結成された5人編成のバンドで、72年から73年までに三枚のスタジオ・アルバムを残したが、近年解散前におけるライブ盤がリリースされた。自身はその三枚共アナログ盤を揃えて聴いて来たが、これから紹介するのは新鮮な感動を味わせてくれた72年1stアルバムと、Kbレスとなって若干サウンドに変化が生じた、72年終わり頃にリリースされた2ndアルバム

まず1stアルバムはかなりイエス寄りのサウンドで、Voもこの手のバンドに在りがちなジョン・アンダーソン寄りのハモリを交えた歌唱法、この辺りがイエスの二番煎じと言えなくもないが、ピーターの目指したサウンドとイエスのサウンドにずれが生じたにしては、良い意味で余り代わり映えしないサウンドと言った処か。

主役となるGにブルース・テイストは微塵も感じられないが、高速運指によるテクニカル且つスリリングなジャズ・テイストに富んだGソロは、そのGフレーズと並んで若干クラシカル・テイストまで感じさせてくれるもので、そのGセンスの良さも含めて最大の聴きどころ。もちろんVoにおける声質もこの手のサウンドにはマッチしているし、ハモリを多用した美しい歌メロもさることながら、ハイトーンが普通に出せる圧倒的歌唱力でリスナーの耳を満足させてくれる筈。もちろん唸りを上げながら刻まれる躍動感に富んだBsも、メリハリの効いたDsサウンドも技量も◎

2ndアルバムはKb抜きになった事でGにかかる比重も大きくなり、その結果Gによるオーバー・ダビングも多くなったが、個人的にはGオリエンテッド・アルバムに近い、よりソリッドでヘビィなサウンドへと変化したので、このイエスとは一味違うサウンドに大満足。とは言っても、その曲作りにおける本質は全く変わっていないし、1stアルバムで聴けた長尺曲における場面展開が激しいプログレ要素も満載で、更にキャッチーさを増した歌メロもよく練られた事が判るし、完成度の高さなら1stアルバムに軍配が上がるが、独自性を取るのであればこの2ndアルバムといった処。Kb抜きでこれだけGアレンジの行き届いたアルバムを作ったピーターにとにかく拍手!

 

   72年1st  72年2nd

 

ちなみに3rdアルバムはポップ・テイストが更に増したサウンドに変化し、自身としてはそれが嫌で聴く機会もほとんどなくなったのですが、これを好みの問題として捉えるのであれば、3rdアルバムも充分楽しめる様な気がします。上に挙げた二枚のアルバムは確か2イン1といったCDが再発されていたと思う?のですが、それが確かであればそちらを購入する事をお勧めします。上に挙げた二枚に限ればプログレハード・ファンの方々は言うまでもなく、ハードロック・ファンの方々にも文句なくお薦め出来ると思えます。