女性G奏者による鮮烈なGサウンドが分厚いホーン・アレンジと並んで最大の魅力 /ラマタム | ハードロックは我が人生そのもの

ハードロックは我が人生そのもの

70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

RAMATAMはアメリカで結成された、Vo兼Gに元ブルース・イメージのマイク・ピネラ、リードGに女性のエイプリル・ロートン、Dsにジミヘンと組んだエクスペリエンスでの活躍が知られるミッチ・ミッチェル、他にBsとKbを加えた5人編成のバンドであるが、実際にはホーン・セクションも加わっているので、先に挙げた三人が中心となるバンドといった事になるのかも。マイクはバンド解散後にアイアン・バタフライにも参加しているが、このバンドもさることながら彼が作る楽曲は、個人的に今一つ魅力が感じられないでいた事から、その内容には余り期待をせず、ミッチがDsと言った事だけで直ぐ店頭でLPを購入に及んだが、その72年デビュー作の中身をこれから紹介。

当時女性Voは多かったものの、女性ギタリストを擁するバンドは非常に珍しく、レコード会社もそれなりに資金を投入して大々的にプロモーションを行っており、それだけで当時は充分過ぎる話題は振りまいたが、その技量の程はジミー・ペイジの如く短いパッセージの中に凝縮された速弾きソロや、ヘビィ且つ切れ味鋭い個性的なフレーズ、あるいは絶妙とも言えるオブリガードで判る様に、ハードロック・リスナーなら誰もが認める、炸裂感を伴うR&R 的アプローチなるが故に実にカッコイイ。もう一方のマイクはブルースに根差されたオーソドックスなGプレイを得意とするギタリストで、ここではとてもエイプリルとは張り合えないと諦めたのか?ほとんどサイドGに徹している。ただ現場ではこの両者の異なるプレイ・スタイルが、良い意味での緊張感となっているのかもしれないが、、、

自身がそのドラミングに期待したミッチは、元々ハードロック・ドラマーではなく、ジャズ寄りでオカズの多いドラミングを特長とするが、その技量が余りにもサウンドに活かされていないのが非常に残念な部分で、ここでは別のドラマーが叩いているかの様な地味過ぎるドラミング。nnn期待が大きかっただけにショックが少し大きかったと言った処。全体的にそのサウンドはマイクのキャラが強く反映されているせいか、ソウルフルな歌唱スタイルを強調したファンキーなハードロック路線となっているが、意外にもサウンドに厚みを与えながらも突っ走る、決して出しゃばらないホーン・セクションから時折放たれる、的を得たソロが実に効果的でカッコイイ。

 

       72年1stアルバム

 

2ndアルバムは1stにおける鮮烈さが消え去った事や、楽曲におけるクォリティーが余りにも落ちたと思えた事から、ここでは内容を避けて通ったのですが、エイプリルの炸裂感のある切れ味鋭いギター・プレイは1stほどではないのですが、ここでも健在です。自身が一発屋と思っているマイクの今までの実績や経歴を思えば、この1stアルバムが目一杯かとも思えるのですが、安定した曲作りが出来ない(趣味に走った捨て曲が多い)マイクにはあまり期待せず、捨て曲がある事を承知の上で聴く分には間違いなく期待に応えてくれる筈です。