クラシカル・テイストを含んだオルガンが基軸となる重厚且つソリッドなサウンドが特長 /フレイム | ハードロックは我が人生そのもの

ハードロックは我が人生そのもの

70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

FRAMEはVo、G、Bs、Kb、Dsの五人から成るドイツで結成されたバンドで、アルバムは72年にリリースされたものが唯一。自身は当時ロック喫茶で初めてそのバンドが放つ、バロック的で美しくもハードなサウンドに衝撃を受け、輸入アナログ盤を探し歩いた末、数年後にやっと購入した記憶が残っているが、もちろん初発CDはアナログ盤を手放した後直ぐに店頭で入手した。

そのサウンドはG奏者が硬質な音でブルージーなソロを連発する事や、オルガンのクラシカルなフレージングによるソロで、ブルース~クラシカル・テイストの味わえるハードロックといった事になるが、G奏者は自己主張激しくソロを弾き倒す訳ではなく、全体的にはオルガンが楽曲全てに渡って鳴り響いている事もあって、オルガンが主導権を握ったメロディアスで重厚且つソリッドなハードロックといった処。決してクラウトロックと呼ばれるものではなく、湿り気を少し帯びたサウンドやドラマティックに展開される楽曲は、ブリティッシュ・ロックにより近く、楽曲そのものを聴かせる正統派ハードロック

専任Voは熱唱するものの、決してシャウトはしない中低域重視の歌唱スタイルを特長としているが、その歌メロはキャッチーな上にメロディアスで、ハモリまで用いている事から非常に練られた事の判るもの。しかも英語発音で非常に馴染み易く、抒情的な曲に関してはGやオルガンから放たれる美しいフレーズと並んで、その主旋律がしっかり頭に刻まれるものでもある。その中でも11分にも及ぶ三部構成のクラシカル且つドラマティックに展開される長尺ナンバーは、アコギにVoが被さりながら始まるもので、そのコーラス・ワークも素晴らしいが、味わい深いオルガン・ソロと並び、間奏における練られたGソロは切ないほど美しい。とにかくバンドにおける本質となる曲の一つで最大の聴きどころ。

 

                         

 

このアルバムは今でもCDなら容易く入手出来ると思えますが、アナログ盤は確か国内では当時リリースされていなかったので、少し難しいのかもしれません。ただプレミアが付くほどのアルバムとは思えない事から、輸入中古盤なら探せば充分手に入ると思えますが、、、

このバンドは非常に知名度の低いバンドですが、ジャーマン・ハード・ロックらしい少し屈折した部分やダークな部分はほとんど見受けられず、その先入観は捨てて聴く事が肝心かと思えます。個人的には隠れた傑作と位置付けているアルバムの一つで、ハードロック・ファンの方々には是非お薦め出来る一枚と眼に映りましたが、特にクラシカルなハードロックが好きと言った方々の期待には間違いなく応えてくれる筈です。