ブルースの進化形が独創的とも言えるこのプログレ・ハードロック /グラウンドホッグス | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

GROUNDHOGSはG奏者であるトニー・マクフィーが結成したトリオ編成のバンドで、68年から始まり現在に至るまで数え切れないほどのアルバムをリリースしているが、どのアルバムもテンションが高く個性溢れるGサウンドが聴ける独創性に富んだアルバムである。ただ70年代初頭からまるで変わらない音楽性にキャッチーさは全く見受けられず、このサウンドが好きか嫌いかの評価は全く分かれる処でもある。自身はこの類まれとも言うべきトリッキー且つ変態的Gサウンドに憑りつかれて、80年代初頭までのアルバムはライブ盤も含めて全てアナログ盤とCD(12枚程度)で揃えて聴いたが、流石にそれ以降のアルバムは代わり映えしないといった事から手は出さない事に決めた。よって今回は今でも自身が好きでたまに聴く70年代初頭アルバムの中から三枚をチョイスして紹介したいが、まずはこのバンドにおける代表作とも言える70年リリースの3rdアルバムから。

T・マクフィー自身はブルース・ギタリストとして、これまでイギリスにおけるブルース・シーンではそれなりに評価は高かったものの、この3rdアルバムからブルースの枠を完全に外れたジャズ・テイストまで取り込んだ、プログレッシヴ・ブルースとも言えるサウンドを構築した。Gスタイルだけを採り上げればジミヘンに近く、G音はロリー・ギャラガー辺りとも共通するハイ上がりの硬質サウンドという事になるが、楽曲自体は両者に共通するキャッチーさはまるで見受けられないもの、よってトニーが歌うVoは歌メロの取り辛い付け足し程度のもので、正にGの独壇場といったアルバムになっている。これが先に触れたハードロック・ファンから見れば、革新的とも言えるオリジナリティー溢れるサウンドといった理由になるが、今までなかったビジネスを全く無視した唯一無二とも言えるサウンド

          70年 3rdアルバム

次は71年リリースのジャケットデザインが余りにも格好良すぎて衝動買いに走り、最初にG/トニーを知った4thアルバム「スプリット」、このアルバムも3rdアルバムの踏襲で、奇妙な楽曲の数々は相変わらずといった処。ただ前作と少し異なる部分はアップ・テンポの曲が少し増えた事と、若干歌メロが聴き取り易くなった事、それに印象的なリフが増えた事、それが故に多少聴き易くはなったかもしれない。特にサウンドの下支えとなる重量感溢れるリズム隊の活躍が素晴らしい。ライブ盤にこのアルバムから採り上げた楽曲が多いのは、バンドにおける自信作といった事からかも、、、とにかくGは相変わらず弾き倒している。中でも「チェリーレッド」は彼らの代表曲の一つ。

最後は今までリリースされたアルバムから抜粋した楽曲で構成されたベスト盤とも言えるもので、B・B・Cラジオによるスタジオ・ライブ盤、これは72年から74年までの音源を編集したもので、当然先に挙げたアルバム中の曲と被るものもあるが、B・B・Cラジオ放送用といった事で音質もクリアーで、三位一体となった凄まじい演奏が聴ける、自身が一番お薦めしたいアルバムの一つ。

71年4thアルバム  72年~74年ライブ

このバンドが過去にリリースしたアルバムは30枚近くに達すると思われますが、T・マクフィーのアルバム創作意欲には凄まじいものを感じます。この手のサウンドが苦手な方もおられるとは思いますが、一度はまれば正に病み付きになるサウンドとも思えます。YOUチューブでも音源は拾える?と思えますので、まずはGの全てが注がれていると感じられた、ライブ盤を聴いた上で判断して頂けたらと思います。アルバムの良し悪しは好みがある事から別にして、上に挙げた三枚のアルバムは、バンドを語る上では決して避けて通れない、非常に完成度の高いアルバムと自身は位置付けています。