圧倒的歌唱力を誇る女性Voを前面に出したオルガンを基軸としたハードロック /アフィニティ | ハードロックは我が人生そのもの

ハードロックは我が人生そのもの

70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

AFFINITYは女性ヴォーカリスト/リンダ・ホイルを拝し、他にG、Kb、Bs、Dsが加わったイギリスで結成された5人編成のバンド。アルバムは70年にリリースされたものが唯一とされて来たが、近年になって発掘音源となる69年に録音されたVoレスのセッションアルバムがリリースされた。

ここで紹介するのは70年の1stアルバムという事になるが、今までリマスターを謳い文句にボーナス・トラックを加えながら何度も再発され、自身は結果的にはアナログ盤から始まり初発CDを経て、2000年代にボーナストラックが8曲も加えられて再発されたCD、そして先に触れた69年録音のVoレスのアルバム(カバーアートの異なる二枚)も含めて合計五枚購入した事になるが、その度にCDを買わされるファンにとっては堪らない。今回紹介するデビュー・アルバムは主役となる女性Voを売り出す目的で制作されたものと思われるが、歌の上手さでは当時最高レベルに近かったジュリー・ドリスコールの声質や歌唱スタイルに若干似ており、少しパワフルさに欠けるだけでロックVoとすれば歌唱力や表現力はほぼ同レベル。そのバックを固めるメンバーは一流どころを集めたと思われる凄腕奏者ばかりで、特にジャズ的アプローチで主旋律からソロを弾き倒すオルガンは圧倒的存在感を放っている。もちろんリズム隊の活躍も見逃せないが、重い上にノリのよいベース・ラインを特長としたBsや、手数が多くバスドラを効かせたメリハリのあるDsの重量感は文句なしといった処。比較的存在感の薄いG奏者はジャジー且つブルージーなGソロを時折歪んだファズ音で奏でているが、これが妙に刺激的で◎。全体的にそのサウンドをアバウトに表現するのであれば、ブラスが導入されたり、オルガン奏者におけるグルーヴィーなプレイやG奏者のプレイ・スタイルから、ジャズ・テイストを多分に含んだプログレ要素のあるオルガン・ハードロックといった事になるのかも、、、

楽曲構成はカバー曲も含めてバラエティに富んでおり、その中でもB・ディランの曲をジミヘンがロック・アレンジした事によって更に人気の出た「オール・アロング・ザ・ウォッチタワー」は、名曲と呼ばれるだけに誰が演奏しても素晴らしいものになるが、御多分に漏れずここでのハイライトはオルガンの独壇場とも言える10分以上にも及ぶこの曲。もちろんリンダの歌声が素晴らしい事は言うまでもないが、、、、

 

                       

 

このアルバムにおけるボーナス・トラックのクォリティは本編に勝るもので、良い意味で誤算となるものでしたが、キーフによるカバーアートも印象に残る秀逸なものです。初発CDは再発CDに比べて明らかに音のクリアーさも含め、音質が少し劣ると言った事からお勧めは出来ませんが、自身はナロウ・レンジが改善されていない再発CDでも納得がいかず、更に自力リマスターしたものを愛聴盤として聴いています。それだけこのバンドが放つサウンドには魅力があるという事なのですが、湿り気や抒情性、更に気品まで漂うブリティッシュ・ロックの真髄がこのアルバムで味わえる筈です。はっきり言ってアルバム中に強烈にインパクトを残す曲はありませんが、充分ハードロックファンの方にはお薦め出来ると思えます。とにかくプログレ・ファンの方やオルガン・ロックが好きと言った方には背中を押してでもお薦めしたい一枚です。

ちなみに69年に録音されたインスト構成の発掘盤は、相変わらずオルガン奏者の活躍は目覚しく、それに加えてG奏者におけるジャジーなプレイが光る味わい深いアルバムとなっています。このアルバムはジャズ・ロックに近いかも知れませんが、興味のある方は一度YOUチューブを検索してみてください。この手のアルバムは間違いなく音源が拾えると思えますので、、、