地を這うが如き歪み切ったファズ音が余りにも新鮮に映るヘビィ・サイケ・アルバム /スタッド | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

STUDは70年代初頭に活躍したイギリスのスタッドとは同名異なるバンドで、リードVoはG奏者が兼任しているものと思われるが、他にBsとDsを加えた三人から成るアメリカで結成されたバンド。このアルバムが録音されたのは75年であるが、実際に当時アナログ盤がリリースされたか否かは判らない状況。近年激レア・アイテムとして初CD化されたが、同好仲間も今までその存在すら知り得なかったバンドの一つで、これからそのアルバム内容を紹介。

75年と言えばアエロ・スミスやキッスの人気が爆発しかけの頃で、レインボーが結成された頃でもあるが、その当時におけるサウンドとしては少し古臭く感じられるもので、G奏者は轟音に近い荒々しいほどのファズ音で迫り来るもの。自ずとそのサウンドは時代遅れとも言えるヘビィ・サイケに近いもので、アコースティカルでドラマティックな曲もあるが、全体的にはブルースに根差されたG奏者が弾き倒すアルバムといった処。もちろんトリオなるが故にGはオーバーダビングされており、そのサウンドに全く隙間は無く、トリオを感じさせないほどの圧倒的音圧。特にほぼインプロに終始した12分にも及ぶバンド名の付いた長尺ヘビィ・チューン「スタッド」は、バンドの本質とも言えるもので、歪み切ったファズ音と圧倒的重量感を放つBsのユニゾンから始まる、地を這うが如きヘビィで不気味なイントロを聴いただけでノックダウン、とにかくそれに被さるフリーキーなGソロと並んで半端ないカッコ良さ!

少しドタバタ感のあるリズム隊に特別際立った部分はないものの、このヘビィ・サウンドにおけるボトムがしっかり支えられていることを思えば、味のあるVoと並んで取り合えず及第点といった処。

アルバム収録曲は全5曲で収録曲は少ないものの、長尺2曲を含めれば収録分数は46分と比較的長く、楽曲自体もバラエティに富んでおり、とにかく楽しめる事請け合い。

 

                          

 

このアルバムが現在でも容易く入手出来るか否かは判らずにいますが、当時におけるアナログ盤は絶対無理としても、CDが再発されたのであれば容易に入手出来ると思えます。どちらにしても新中古盤を問わず、通販や店頭で眼にしたなら迷わず購入される事をお薦めしますが、ハードロック・ファンの方はもちろん、サイケ・ハードあるいはヘビィサイケ・ファンの方には背中を押してでもお薦めしたい一枚です。実際にYOUチューブで確認した訳ではないのですが、恐らくこの手のバンドの音源は拾えると思えますので、ここで初めてバンド名を耳にされた方は、削除されないうちに検索して音源を取り込んで頂く事が賢明かと思えます。