パワー・トリオが放つ疾走感溢れる豪快なサウンドが魅力 /ハイウェイ・ロバリー | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

HIGHWAY ROBBERYはG及びVo兼Bs、そしてリードVoはDsが兼任した三人から成るアメリカで結成されたパワー・トリオで、G奏者はアトリーといったバンド解散後にこのバンドを立ち上げたマイケル・スティーヴンス。結果的には72年にリリースしたこのアルバム1枚を残して解散。

その内容は数曲を除いては疾走感に富んだドライブ感溢れる楽曲でほぼ構成されたもので、そのサウンドは以前紹介したヘッド・オバー・ヒールズやGFRに近いもの。恐らくそれに対抗して結成したバンドと窺われるが、Gは曲に応じて歪を使い分けたファズ音を特長としており、音に厚みの出るスライド奏法が好きなのか、これを持ち味としてリフも含めて楽曲における一部のGソロにも多用している。ただ結果的にそれがリズムやリフにおける切れ味の悪さに直接繋がっているのが非常に残念な部分で、スライドを使用しないストレートなリフやソロの方が明らかに良いと感じるのは自分だけか、、、それでも楽曲のカッコ良さやリフのカッコ良さだけはハードロックとしては◎

曲におけるカッコ良さはVoにおける歌メロにも充分表れており、キャッチーでサイケを通り越したガッツィーで表現力に富んだ歌唱スタイルは、兼任Voとは思えないほどの歌唱力。その声質はハードロック然としたもので思わず惹きつけられるほど。

重量感に富んだパワフルなリズム隊の一翼を担うBs奏者は、よく動き回るベース・ラインを特長としたもので半端ないドライブ感。それに負けじと存在感を示しているのがメリハリを効かせながらボトムをしっかり支えたDs奏者で、ツゥバスを効かせたオカズ少な目のDsサウンドは正しくハードロック・ドラマーのそれ。それが故にこのヘビィで荒々しいバンド・サウンドを決定付けているのはこの二人のリズム隊によるもの。

とにかくハードロック・リスナーの耳を捉えて放さない豪放磊落且つパワフルなサウンドは、先に触れた様に申し分ないとも思えるが、このアルバムがセールスに直接結び付かずに終わった原因があるとすれば、良いプロダクションに恵まれなかったせいか?あるいは上手過ぎるVoよりも的を得ているとは思えない、G奏者による演奏スタイル(泥臭く映るスライド奏法)といった事になるのかも、、、、

 

                         

 

このアルバムは現在に至るまで再発を繰り返している事から、今でも容易く入手出来ると思えますが、多少ネガティヴ材料があったとしても、ハードロック・ファンの方の期待を裏切る様な事はまず無いと思えます。もし購入時における不安材料があるとすれば、短い収録分数と先に触れたハードロックには絶対に似合わないスライド奏法のみと思える(自身の独断と偏見)のですが、それを承知で購入する分には間違いなく楽しめるしお薦め出来る一枚です。もちろん自身は最終的にアナログ盤もCDも購入した一人なのですが、、、