ヘビィ・サイケ・トリオから放たれる豪放なサウンドが特長 /フィールズ | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

FIELDSは英国のオルガン・ハードロック・バンドと全く同名のバンド名で、此方はそれ以前から活動していたG、Bs、Dsから成る三人編成のアメリカのバンド。アルバムは69年にリリースしたものが唯一のものとなるが、後にこのバンドを経てビッグネームとなった人物はいない。そのサウンドはこの時代を反映したものか、ハードロックの過渡期に当たる明らかにサイケを引き摺ったヘビィ・サイケ・トリオと呼ぶに相応しいもの。自ずとG奏者はその代名詞とも言えるファズ音で、時にはワウも効かせながら饒舌に弾き倒すブルースをベースにしたギタリスト。VoはG奏者による兼任なのか?熱唱に近い歌唱力が水準以上のレベルにあるのは良い意味で意外。もちろんリズム隊の一翼を担うDsも、時代を反映した休みなく叩きまくるドカスカドラムで、Bsは楽曲によっては異なるものの、時にはジャック・ブルースと化した歌いながらもよく弾む重低音ベース。この三位一体となったサウンドがこのバンドにおける本質と言った処で、曲によってはホーン・セクションやストリングス、あるいは女性コーラスが加わるごった煮的サウンドも、バンドにおける個性でサイケとしての特長。

アルバム中にはビートルズをよりハードに演奏したらこうなると言った、名曲と呼ぶに相応しいナンバーや、日本のロックバンドもカバーした正にヘビィ・ブルースといった名曲もあって間違いなく楽しめるが、当時におけるアナログ盤では、片面全てを費やしたと思える20分にも及ぶ長尺ナンバーはバンドの象徴とも言える曲の一つで、ホーンからストリングスまでも加えて構成された実に聴き応えのある大作。ただ少し飽きを来させるのが難点で、これを明らかに展開の異なる二部構成の曲として聴けば、そのアレンジも含めて充分楽しめる筈。この手のヘビィサイケ・バンドに多く見受けられる無駄な捨て曲は皆無で、最後まで通して聴けるのはアルバムとしての最大の魅力であり値打ち。

 

                        

 

自身は90年代CD化されるのと同時にこのアルバムは購入したのですが、アナログ盤ならサイケ・ファンの方にとっては垂涎の一枚だと思えます。このアルバムが今でもCDとして容易く入手出来るかどうかは全く判らずにいますが、ハードロックとしてもヘビィ・サイケとしても間違いなく楽しめる一枚だと確信しています。店頭や通販でもし見つけたなら廃盤にならない内に迷わず購入される事をお薦めしますが、きっと期待に応えてくれる筈です。