とてつもないグルーヴ感を持った豪快でブルージーなサウンドが魅力 /ストレイドッグ | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

このSTRAY DOGが74年にリリースした1stアルバムは、ハードロック・ファンを自認する方であれば、年齢を問わずほとんどの方が既にCDを手にしているのかもしれないが、自身は70年代のリアルタイムでアナログ盤を購入した世代。メンバーはこの時点ではまだ無名に近いVo兼G奏者のスナッフィー・ウォルデン、Dsがロードを経て加入したレスリー・サンプソン、Vo兼Bsはまだ無名のアル・ロバーツからなるトリオ編成のバンドで、ブルースを基調としながらモダンな感覚を採り入れたその垢抜けしたGサウンドには、当時度肝を抜かれた記憶が残っている。とにかく三人の化学反応から生まれた奇跡の一枚と呼ぶしかないが、あのグレッグ・レイクがプロデュースした事が関係しているのかも、、、ただ結果的に売れなかった事で、2ndアルバムではAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)路線へと変更した形になったが、自身も含めて1stを知るファンにとっては非常に残念な限り。もちろん決して楽曲のクォリティーが落ちた訳ではないが、あからさまとも言える路線変更には戸惑うばかり。

1stアルバムはGの活躍が目覚しい楽曲の数々で構成されたもので、一言で言い表せばキャッチー且つメロディアスで、大きなグルーヴ感を持った豪快なサウンド、それに加えて曲そのものが全て格好良く、ハードロックとしては当時としても今でもこれ以上望めない完成度。ここでもロードでその凄腕を発揮した手数の多いDsが素晴らしい活躍を見せてくれているが、正にこのDsがあるが故にこのサウンドが成立したといった処で、バンドにおけるグルーヴ感はほぼこのDsから放たれたもの。特にスネヤから重くタイトなバスドラ音に至るまでのチューニング・センスが素晴らしい。

全体を通してクリアーなサウンドは、自ずと録音が優れている事にも繋がっているが、それが各楽器における分離の良さや音抜けの良さにも一役買っている。

 

             74年1st 

2ndアルバムは先に触れた様に曲の完成度は高く、全体的にはピアノやコーラスの導入によって、バラードを含めた軽いタッチの曲が多くなっているが、1stを踏襲したブルージーで重量感に富んだ曲は数曲あるものの、何を目指しているのか今一煮え切らないのが難点。このバンドだけはイーグルスなどを代表とする、AORといった時代の流れに迎合して欲しくはなかったが、G音だけは放つフレーズと並んで格好良い。ちなみに近年ライブ音源を多く含む未発音源がリリースされたが、ライブ音源に関しては1stのオーバーダビングが多く施された楽曲と比べてもサウンドに遜色はなく、トリオといった最小ユニットが放つ演奏力にはただただ感動するばかり。

       2nd     未発音源 

バンドが残した二枚のスタジオ録音盤はCDとして再発を繰り返している事からすれば、今でも充分購入出来ると思われますが、ライブ音源を含んだ未発音源までは判らない状況にあります。とにかく1stアルバムだけは絶対に期待を裏切られるとは思えない、背中を押してでもお薦めしたい一枚です。